DeepDotWeb

DeepDotWebは、かつて存在したダークウェブ専門のニュースサイトです。このサイトは、ダークネット市場に関する詳細なインタビューやレビュー、Torネットワークの隠されたサービス、法的措置、プライバシー問題、ビットコインおよび関連ニュースなど、ダークウェブを取り巻く様々な情報を網羅的に扱っていました。

DeepDotWebの特筆すべき点は、その独占的な報道内容です。ダークネット市場でのドラッグ押収事件や、ペドフィリア関連のクラウドファンディング、ダークネット市場のハッキング事件の詳細など、他のメディアではなかなか報じられないような深い闇の部分に焦点を当てていました。また、ソフトウェアエクスプロイトを販売する「TheRealDeal」のような多様なマーケットについても積極的に報じており、ダークウェブの複雑な実態を伝えていました。

さらに、ブラックリストに載ったマーケットの情報や、複数のマーケットを比較・レビューするコンテンツも提供していました。これにより、ユーザーはダークウェブ上の様々なサービスをより深く理解することができました。2015年には、マカフィーが自社サイトで取り上げたランサムウェア「TOX」の開発者がDeepDotWebのインタビューに答えており、このサイトの影響力の大きさを物語っています。

しかし、DeepDotWebは2019年5月7日、FBIによってドメインが差し押さえられました。deepdotweb.comとその姉妹サイトの.onionドメインは、ドメイン差し押さえ通知画面にリダイレクトされるようになりました。この通知には、FBIのほか、ユーロポール、イギリス国家犯罪対策庁、ドイツ連邦刑事庁など、数多くの法執行機関のロゴが表示されていました。複数の関係者がイスラエル、フランス、ドイツなどで逮捕されており、イスラエル警察はDeepDotWebの運営者たちが闇市場サイトへのリンクと引き換えにビットコインを受け取っていたと主張しました。

その後、サイト管理人のTal PriharとMichael Phanは、マネーロンダリングの共同謀議罪でアメリカの裁判所に起訴されました。米司法省によると、DeepDotWebは運営期間中に、ダークネット市場でのフェンタニル、銃火器、ハッキングツールなどの違法な取引から、キックバックとして約840万ドル相当のビットコインを受け取っていたとされています。その後、ビットコインの価格上昇により、その価値は約1550万ドル相当にまで膨れ上がりました。サイト管理人は、これらのキックバックをDeepDotWebのビットコインウォレットから、他のビットコインウォレットやペーパーカンパニーが管理する銀行口座、個人口座に移動させていました。また、米司法省は、DeepDotWebが関与した取引は、AlphaBayで完了した全注文の23.6%に達していたと発表しました。2021年3月には、Tal Priharがマネーロンダリングの共同謀議罪を認めました。

DeepDotWebは、ダークウェブの情報を発信する一方で、その運営自体が違法行為に関与していたという点で、非常に複雑な側面を持つサイトでした。この事件は、ダークウェブの匿名性と、それを利用した犯罪の深刻さを改めて浮き彫りにしました。

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