Devil May Cry (2007年のアニメ)

テレビアニメ『Devil May Cry』

『Devil May Cry』（デビル・メイ・クライ）は、カプコンの人気スタイリッシュアクションゲームシリーズを原作としたテレビアニメ作品です。2007年6月14日から9月6日にかけて、WOWOWにて毎週木曜23時00分より放送されました。全12話で構成され、ゲーム版の世界観や主要キャラクターを活かしつつ、アニメオリジナルのストーリーが展開します。

概要

物語の時系列はゲームシリーズの『デビルメイクライ』第1作と第2作の間に位置づけられており、ゲーム本編ではあまり描かれることのなかった主人公ダンテの日常や、彼を取り巻く人々のエピソードが中心に据えられています。本作は、悪魔狩人（デビルハンター）であるダンテが営む何でも屋「Devil May Cry」に舞い込む様々な依頼を軸に、1話完結形式で進行するエピソードがほぼすべてを占めます。一癖あるクールガイ、ダンテが、彼の事務所にやってくる個性的な面々や依頼主、そしてもちろん悪魔たちと関わりながら、事件を解決していく様が描かれます。事務所内の様子はゲーム『デビルメイクライ3』に登場したモデルが採用されており、ダンテのずぼらな性格を反映してか、常に散らかり放題です。食事はオリーブ抜きのピザとストロベリーサンデーしか口にしない偏食ぶりで、多額の借金を抱えながらも「週休六日主義」を公言して憚らないなど、アニメでは彼の人間的（？）な一面がコミカルに描かれています。しかし、いざ悪魔と対峙すれば、半魔の血に由来する圧倒的な戦闘能力で敵を殲滅する「悪魔も泣き出す男」へと豹変します。

ゲームとは異なり、本作の音声は日本語が基本となっています。ダンテ役の森川智之氏をはじめとする声優陣は、放送終了後にゲスト出演したゲーム作品や、『デビルメイクライ4 スペシャルエディション』以降のゲーム本編の日本語音声も担当しており、アニメがゲームシリーズの日本語キャストに与えた影響は少なくありません。なお、海外版の音声については、一部ゲーム版と同様のキャストが起用されています。本作は後にDVD/Blu-rayが発売され、バンダイチャンネルでも配信されています。

ストーリー

本作の主な舞台は、ダンテの事務所「Devil May Cry」。依頼を受けて悪魔絡みのトラブルを解決するダンテの姿が描かれます。ゲーム本編のような壮大な物語というよりは、日々の出来事や出会い、そしてダンテ自身の過去や内面に触れるようなエピソードが中心となります。事務所には、アニメ版オリジナルキャラクターである少女パティ・ローエルが頻繁に出入りし、ダンテとのコミカルなやり取りを繰り広げるなど、賑やかな日常が描かれます。序盤は様々な依頼や悪魔との対峙を描く1話完結形式ですが、物語が進むにつれて、パティの出自に関わる大きな陰謀、そして下級悪魔シドの暗躍が明らかになっていきます。終盤では、伝説の大悪魔アビゲイルの復活を巡る壮絶な戦いが描かれ、ダンテ、レディ、トリッシュといったメインキャラクターが集結し、強大な敵に立ち向かいます。

登場人物

ダンテ: 主人公。人間と悪魔の血を引くデビルハンター。普段はやる気がなくずぼらですが、実力は本物。ゲーム『1』の赤いコートと『3』のヘアスタイルを組み合わせた外見で、魔剣リベリオンと二丁拳銃エボニー＆アイボリーを愛用します。
パティ・ローエル: アニメ版のヒロイン。ダンテに助けられた少女で、事務所の常連となります。おしゃれでおしゃまな性格で、コーヒーが苦手。物語の鍵を握る存在です。
J・D・モリソン: ダンテの情報屋。律儀な性格で、様々な依頼を持ってきます。ダンテのサポート役としても活躍します。
レディ: 多彩な銃火器を使うデビルハンター。ダンテに多額の借金があり、取り立てに訪れる一方、共闘することもあります。アニメではトリッシュとの出会いが描かれます。
トリッシュ: 雷を操る力を持つ悪魔。ゲーム本編でダンテの相棒となりました。アニメでは世界を旅しており、気まぐれにダンテの前に姿を見せます。
シド: 下級悪魔であり、物語の黒幕。非力ながらも人間の姿に化けて暗躍し、伝説の大悪魔アビゲイルの復活を目論みます。
その他、ダンテ行きつけのカフェのマスター・フレディとウェイトレス・シンディ、パティの母親ニーナ・ローエルなど、個性豊かなレギュラー・ゲストキャラクターが登場し、エピソードを彩ります。

用語

アランの涙: 錬金術師アラン・ローエルが生み出した魔石。アビゲイル封印の鍵であり、悪魔を退ける力も持ちます。パティのペンダントもこれに関連しています。
アビゲイル: 伝説的な大悪魔。シドの暗躍により復活を目論みます。
四天王: シドが言及した強力な悪魔たち。魔界の覇権を争っているとされますが、本編には登場しません。

メディア展開など

テレビ放送後には、本編では語られなかったエピソードを収録したドラマCDが2巻発売されました。ドラマCD Vol.1では、ダンテの旧友である情報屋エンツォ・フェリーニョが登場し、ダンテが常に金欠である理由や魔具に関する裏話が明かされています。Vol.2では、パティやダンテ、そして刑事マクレーンを巡るコメディタッチのエピソードなどが収録されており、アニメの世界観をさらに広げています。

アニメーション制作は高品質な作品で知られるマッドハウスが担当しました。監督は板垣伸氏、シリーズ構成は井上敏樹氏。音楽はrungranが手掛け、オープニングテーマ「d.m.c」やエンディングテーマ「I'll be your home」などが作品のスタイリッシュな雰囲気を盛り上げています。

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