DirectWrite

DirectWriteは、Microsoft DirectXに属するコンポーネントの一つで、従来のGDI/GDI+に代わる、より高度な文字描画機能を提供するAPI群です。略称はDWriteで知られています。

高速なテキスト描画

DirectWriteは、Direct2Dと連携することで、ハードウェアアクセラレーションを活用した高速なテキスト描画を可能にします。これにより、複雑なフォントやテキスト効果もスムーズに処理でき、アプリケーションのパフォーマンス向上に貢献します。

OpenType機能と多言語対応

OpenTypeフォントの持つ高度な機能への対応はもちろん、多数の言語に対応しているため、グローバルなアプリケーション開発を強力にサポートします。例えば、異体字や合字などの複雑な文字表現も正確に描画できます。

ClearType処理

縦方向のアンチエイリアス処理が施されたClearType処理に対応しており、ディスプレイ上でのテキストの視認性を大幅に向上させます。これにより、テキストがより滑らかに表示され、長時間の使用でも目の疲れを軽減できます。

Windowsの標準機能

DirectWriteは、Windows 7およびWindows Server 2008 R2以降のOSで標準実装・サポートされています。初期バージョンである1.0は、Direct2Dと共にWindows VistaおよびWindows Server 2008にもバックポートされました。これにより、幅広い環境での利用が可能となりました。

バージョンと進化

DirectWriteはDirect2Dと密接に連携してバージョンアップを重ねており、Windows 7でバージョン1.0、Windows 8でバージョン1.1、Windows 8.1でバージョン1.2、Windows 10でバージョン1.3がリリースされました。Windows 10の機能更新のたびに、DirectWriteにも新しい機能が追加され、常に進化を続けています。

GDIとの相互運用

DirectWriteは、主にDirect2Dとの連携を想定して設計されていますが、従来のGDIとの相互運用性も確保されています。GDIフォントとの相互変換や、デバイスコンテキストを介してGDIサーフェイスへの描画も可能です。これにより、既存のGDIベースのアプリケーションでもDirectWriteの機能の一部を活用できるようになっています。

縦書きへの対応

従来のGDI/GDI+では、特定のフォントや回転角度指定、縦方向フォーマットフラグを用いることで縦書き表示が可能でしたが、Windows 7までのDirectWriteでは縦書きに非対応でした。しかし、Windows 8以降のDirectWriteでは、縦書きにも正式に対応しました。これにより、日本語などのアジア系言語で縦書きが必要なアプリケーションでも、DirectWriteの高度な機能を利用できるようになりました。

カラーフォントへの対応

OpenTypeのカラーフォント（カラー絵文字）への対応は、Windows 8.1から始まりました。当初はレイヤー方式（COLR/CPAL）のみのサポートでしたが、Windows 10 Anniversary Update (バージョン1607、ビルド14393) で、SVG形式や埋め込みビットマップ形式（CBDT/CBLCおよびsbix）にも対応しました。これにより、絵文字などのカラフルな文字をDirectWriteで表示することが可能になりました。

まとめ

DirectWriteは、Microsoft DirectXの一部として、高速なテキスト描画、多言語対応、縦書きやカラーフォント対応など、高度な文字描画機能を提供する強力なAPIです。Direct2Dとの連携により、リッチなテキスト表現を容易に実現し、WindowsアプリケーションのUI/UX向上に大きく貢献しています。

関連情報

Microsoft DirectX
Direct2D
Graphics Device Interface
DirectWrite の紹介 | Microsoft Learn

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