OpenType

OpenTypeとは

OpenType（オープンタイプ）は、デジタルフォントの規格の一つです。元々はAppleが開発したTrueTypeフォントを拡張する形で、MicrosoftとAdobe（旧アドビシステムズ）が共同で開発を行い、1997年4月にバージョン1.0が発表されました。OpenTypeは、Microsoftの登録商標です。

OpenTypeの規格

OpenTypeはTrueTypeを基盤とし、PostScriptフォントのCFF/Type 2形式のアウトラインデータも扱えるように拡張されています。これにより、より多様なフォント表現が可能になりました。

ファイル拡張子は、アウトラインデータ形式によって異なります。CFF形式の場合は「.OTF」（フォントコレクションは「.TTC」「.OTC」）、TrueType形式の場合は「.TTF」「.OTF」（フォントコレクションは「.TTC」）が用いられます。

OpenTypeの特徴

OpenTypeには、以下のような特徴があります。

Unicodeへの対応: Unicodeに完全対応しており、異体字を含む最大65536個のグリフを収録できます。これにより、多言語フォントの作成が容易になり、CID（Character IDentifier, Character ID）も利用できます。
高度な文字組版機能: 合字、字体切り替え、プロポーショナルメトリクス、ペアカーニング、ベースライン指定など、高度な文字組版機能を利用できます。これにより、より美しい文字表現が可能です。
クロスプラットフォーム対応: WindowsとmacOSの両方で同じフォントファイルを使用できます。ATMフォント、低解像度プリンタフォント、高解像度プリンタフォントなどを区別する必要がなく、1つのフォントファイルで対応できます。
ファイルサイズの削減: アウトラインがCFF形式の場合、TrueType形式よりもフォントファイルのサイズを小さくできます。
バリアブルフォント: OpenType 1.8（2016年9月策定）では、同じフォントファミリー内の複数のスタイルを一つのフォントファイルにまとめることができるバリアブルフォント（OpenType Variable Font）が追加されました。これにより、ウェイトや字幅などのスタイルを1つのファイルで自由に変更できます。
カラーフォントのサポート: PNG画像やSVG画像の埋め込み、複数の単色グリフアウトラインのベクターレイヤーを利用した、カラー絵文字や色付きフォント（カラーフォント）をサポートします。

ただし、Windows環境では、OpenTypeフォントが使用できないアプリケーションも存在します。GDI+では標準で対応していないため、.NET FrameworkのWindows Formsなどでは標準で使用できません。WPFは大部分の機能に対応していますが、カラーフォントへの対応はWindows 8.1以降となり、Windows 10 Anniversary Update時点でもSVGカラーフォントへの対応は部分的なものに留まります。

和文OpenTypeフォント

日本語の文字コードであるJIS X 0208などでは、微小な字形差が包摂規準により同じ符号位置に統合されるため、OpenTypeの持つ異体字対応機能が重要になります。日本では、グリフ集合としてAdobe-Japan1シリーズを用いることで、微小な字形差を区別することが一般的です。

漢字の異体字切り替えは、フォントに内蔵されたGSUBテーブルを利用する方法や、Unicode 5.1で導入された異体字セレクタIVS (Ideographic Variation Sequences) を利用する方法があります。Adobe-Japan1は、2007年12月にIVD (Ideographic Variation Database) に登録されました。Unicode 6.3では、SVS (Standardized Variation Sequences) としてCJK互換漢字の1002通りが追加されています。OpenTypeは、2008年5月策定のOpenType 1.5でUnicodeの異体字セレクタに対応しました。

日本語のグリフ集合としては、Adobe-Japan1-3 (Std) が9,354グリフ、Adobe-Japan1-4 (Pro) が15,444グリフ、APGS (Apple Publishing Glyph Set) をサポートしたAdobe-Japan1-5 (Pr5) が20,317グリフ、Adobe-Japan1-6 (Pr6) が23,058グリフをサポートしています。

現在では、アドビやモリサワなどのフォントベンダーがAdobe-Japan1-6に準拠したOpenTypeフォントを多数販売しており、AppleはmacOSにヒラギノOpenTypeフォントを標準採用しています。また、アドビはDTPソフトAdobe InDesignでOpenTypeの文字組版機能に完全対応するなど、各方面でOpenTypeへの対応が進んでいます。

従来のフォントとの違い

従来のOCFフォントやCIDフォントでは、ダイナミックロード出力が不安定でしたが、OpenTypeはTrueTypeと同様にダウンロード出力が可能です。これにより、コンピュータ側にフォントがインストールされていれば出力できます。

Open Font Format (OFF)

2005年後半、OpenTypeはISO (国際標準化機構) の下でオープン標準への移行を開始し、2007年3月にISO/IEC 14496-22（MPEG-4 Part 22）として正式に承認され、「Open Font Format」（OFF）と呼ばれるようになりました。OFFは無料で公開されている規格であり、OpenTypeの仕様と同期して維持されています。

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