Dispatch

m-floのシングル『Dispatch』は、2001年7月25日にリリースされた、彼らのキャリアにおいて重要な位置を占める作品です。12枚目のシングルとして発表されたこの楽曲は、それまでのm-floの作風とは一線を画す、ヒップホップ色が濃厚な仕上がりとなっています。

最大の注目点は、BUDDHA BRANDのDev LargeとNippsという、日本のヒップホップシーンを代表するMC2名とのコラボレーションです。m-floにとって初の試みとなるこのコラボレーションは、新鮮なサウンドを生み出し、リスナーに大きな衝撃を与えました。VERBALのラップとの化学反応は絶妙で、それぞれの持ち味が存分に発揮された、聴き応えのある楽曲となっています。

『Dispatch』は、m-floのセカンドアルバム『EXPO EXPO』に収録されていた楽曲ですが、シングルカットに際しては、完全受注生産という特別な形態がとられました。これは、彼らの音楽に対する高い自信と、熱心なファンへの特別なサービスという両方の意味合いがあったと言えるでしょう。

さらに、『Dispatch』のミュージックビデオも話題となりました。前作シングル『prism』のミュージックビデオの続編という設定で制作されており、前作の世界観をさらに深化させる内容となっています。ストーリー性の高いビデオは、楽曲の世界観を視覚的に堪能できる、見応えのある作品となっています。

シングルには、オリジナルバージョンに加え、3種類のRemixバージョンが収録されています。そのうち、『Dispatch [SPACE BUDDHA PIMP + 1 MORE REMIX]』は、リミックスアルバム『EXPO防衛ロボット GRAN SONIK』に収録されており、他のリミックス『Dispatch [DJ WATARAI Remix]』と『Dispatch [DAZZLE-T & KAZ B-BOSSA MIX]』は、このシングルにのみ収録された、貴重な音源となっています。DJ WATARAIによるRemixは、前作『Quantum Leap』以来、約1年ぶりのコラボレーションであり、彼独特のセンスが光るRemixに仕上がっています。DAZZLE-T & KAZ BによるRemixは、アルバム未収録ながらも、独特のボサノバ風アレンジが魅力的な、聴き応えのあるRemixとなっています。

『Dispatch』は、m-floの音楽性の幅広さを示すだけでなく、日本のヒップホップシーンとの繋がりを示す、非常に重要な作品です。豪華コラボレーション、完全受注生産、ストーリー性のあるミュージックビデオ、そしてバラエティに富んだRemixバージョンなど、様々な要素が詰め込まれたこのシングルは、m-floのファンのみならず、ヒップホップファンにとっても必聴の1枚と言えるでしょう。楽曲の持つ独特の雰囲気、そしてその背景にある様々な要素を考慮すると、『Dispatch』は、m-floのディスコグラフィの中でも、特に高い評価に値する作品と言えるのではないでしょうか。

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