Disquisitiones Arithmeticae

『Disquisitiones Arithmeticae』の概要

『Disquisitiones Arithmeticae』（ディスクィジティオネス・アリトメティカエ、以下D.A.）は、カール・フリードリヒ・ガウスが24歳のときに発表した唯一の著作です。この書籍は、整数論に対する深い洞察を提供し、後の数論研究に多大な影響を与えました。初版は1801年に発行され、ガウスはこの作品を17歳の頃から構想し始め、1797年にはほぼ完成状態にありました。特に、D.A.は整数論を中心に構成されており、現代の数論を形作る根本的な理論が展開されています。

書の内容

D.A.は合計7章から成り、366の条文が含まれています。各章は以下のような内容で構成されています：

• - 第1章: 数の合同に関する一般的な事柄（第1条 - 12条）
• - 第2章: 一次合同式（第13条 - 44条）
• - 第3章: 冪剰余（第45条 - 93条）
• - 第4章: 二次合同式（第94条 - 152条）
• - 第5章: 二次形式と二次不定方程式（第153条 - 307条）
• - 第6章: これまでの研究のさまざまな応用（第308条 - 334条）
• - 第7章: 円の分割を定める方程式（第335条 - 366条）

最初の3章は、フェルマーやオイラー等の先人たちの成果を整理し、彼らの理論を系統的にまとめ上げています。特に、第2章では整数の一意な素因数分解についての証明がなされ、これはガウスが特に注目した点です。第4章以降は、ガウス自身の研究成果が豊富に含まれ、特に第4章では平方剰余の相互法則が中心に論じられています。

重要性と影響

D.A. は数論の発展を大きく促進させ、19世紀の欧州における数学的探求の出発点と見なされています。ガウスは、個々の数論的成果を統合し、理論の整合性を高めることに貢献しました。この構造的なアプローチは、後の数学的執筆において標準的な手法となりました。彼はまた、定理に対する具体的な数値例を示すことで、理論と実際的な使用の橋渡しをしました。

D.A. は、ヤコビやディリクレなどの数学者たちによって引き継がれ、研究が続けられました。特にディリクレはこの書を常に持ち歩くほど熱心でした。さらに、D.A. に記されたいくつかの未解決な問題や conjectures は、20世紀の数学研究においても進展が見られました。

言語訳

D.A. はラテン語で書かれており、数学著作の中では遅めの時期の作品です。原著が発表された6年後にはフランス語訳が、1889年にはドイツ語訳が、1965年には英語訳が、1995年には日本語訳がそれぞれ行われました。特に日本語訳においては、高瀬正仁が訳注を加え、各言語版の特徴を反映させた重要な翻訳となっています。

結論

『Disquisitiones Arithmeticae』は、整数論における進歩的な成果を提供するだけでなく、数学における証明の重要性を認識させた著作です。ガウスの理論は、現代数学にも多大な影響を及ぼし続けており、数世代にわたる数学者たちにとっての基盤となっています。

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