E-75

E-75: ドイツの重戦車

E-75は、第二次世界大戦中のドイツで計画された重戦車であり、ティーガーIIを代替する目的で設計されました。この戦車は、E（Entwicklungstypen＝開発タイプ）計画の一環として、共通の構成品を使用し生産性を向上させることを目指していました。本戦車に関してはサスペンションのみが完成し、試験が行われただけであり、そのほかの主要構造は実現しませんでした。

開発背景

E-75は、E-100、E-50、E-25、E-10とのシリーズの一部として位置づけられています。この計画の狙いは、重戦車の規格を統一し、設計と生産の効率を高めることでした。主にティーガーIIの後継車両としての役割が期待されており、その特徴や性能の向上が求められました。

ただし、実際にはE-100を除くEシリーズは通常車体すら完成しなかったため、E-75の完成度は非常に低いものでした。サスペンションのテストは行われたものの、他の部分は設計段階にとどまっているのが現状です。

構造と仕様

E-75は、改良が加えられたHL234 V型12気筒液冷ガソリンエンジンを搭載する予定でした。このエンジンはティーガーIIと共通で、予想される最大速度は40km/hであり、これはティーガーIIとほとんど変わりありませんでした。また、主砲としては8.8cm KwK 戦車砲を搭載する計画でしたが、攻撃力の面ではティーガーIIを超える性能が求められていました。そのため、10.5cm砲や12.8cm砲の搭載についても検討が行われていました。

車体はティーガーIIと非常に似た形状で設計されており、特に正面装甲板の傾斜角が増し、より高い対弾性を持つように工夫されています。また、履帯や冷却装置、エンジン関連の多くの構成部品がE-50と共通化されていたため、見た目は似通っていたと考えられます。この構造上の工夫は、生産性の向上に寄与することを目的としていました。

性能諸元（予定）

E-75の設計時の外形寸法は以下のように予想されていました。

• - 全長: 12m
• - 全幅: 3.7m
• - 全高: 3.8m
• - 主砲: 88mm戦車砲KwK44
• - 乗員: 5名
• - 重量: 約80t
• - エンジン: マイバッハ HL234
• - 最大速度: 40km/h

登場作品

E-75はオンラインゲーム『World of Tanks』においてドイツの重戦車として登場しています。このゲームでは、史実では88mm戦車砲Kwk44が搭載される予定でしたが、開発を進めると128mm（12.8cm）Kwk.Ausf.Eが利用可能になっています。

関連項目

E-75は、ドイツ国防軍のEシリーズの一部であり、その意義や計画は今なお多くの研究と考察の対象となっています。関連文献としては、齊木伸生著の『ドイツ戦車発達史：戦車ものしり大百科』（潮書房光人社 2012年）などがあります。

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