E-100

E-100：ナチス・ドイツの超重戦車

E-100は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツによって試作された超重戦車です。この戦車は戦争終結時には完成に至らず、その車体部分のみが存在していましたが、その構想とデザインは後の歴史においても注目を集めています。

開発の経緯

E-100の開発は1943年6月30日に、ナチスドイツの兵器局からアドラー製作所へ向けての公式な指示が出されたことに始まります。この開発は、戦車の各種構成パーツを共通化し生産効率を高める「E計画」の一環として進められました。この計画は、ポルシェ社が関与していた「マウス計画」とも連携を取りながら進行していきました。

しかし、1944年7月にヒトラーが超重戦車の開発を停止するよう命じたため、E-100の優先度は低下しました。アドラー製作所の作業員3人によって、パーダーボルン近郊のヘンシェル社工場で少しずつ組み立てられたのです。1945年4月にはアメリカ軍の第751野戦砲兵大隊によって工場が接収されるまで、車体はほぼ完成していましたが、エンジンやサスペンションは未装着の状態でした。

E-100のその後

戦後、アメリカ軍はE-100に対して関心を持ち、さらなる組み立て作業を指示しましたが、走行が実現することはありませんでした。興味を失ったアメリカ軍は最終的にE-100をイギリス軍に譲渡しますが、イギリス側に運ばれた後の記録が残っておらず、おそらくはスクラップとして処理されたと考えられています。

E-100の構造

E-100の試作車輌は、ティーガーIIと同じエンジン（HL230P30、700hp）を搭載する計画で、最終的にはHL234エンジン（800hp）や過給器付きエンジンが検討されていました。さらに、マウスの砲塔を流用する計画があり、そのための火器として12.8cm戦車砲と7.5cm戦車砲が予定されていましたが、最終案では15cm戦車砲も搭載可能とされました。

防御力については、車体前面の装甲厚は200mmで、60°の傾斜をつけることでマウス以上の防御を実現。実際には400mm相当の防御力を持つと見なされていました。また、車体側面には100mmの装甲が配置され、耐弾性を高めるために60mmの装甲スカートが装着されました。

E-100の登場作品

E-100は多くのフィクション作品やゲームにも取り上げられています。小説『鏖殺の凶鳥』では武装親衛隊が使用し、1両だけが極秘裏に完成したという設定があります。他にも、人気のある戦車バトルゲーム『War Thunder』や『World of Tanks』では、E-100が重戦車や駆逐戦車として登場し、多くのプレイヤーに愛されています。

結論

E-100はその完成に至らなかった試作ながらも、独自のデザインや性能特性が後世にわたり影響を与え続ける存在です。戦車技術の進化を象徴する一例であり、その歴史的意義は今でも多くの戦車愛好家や歴史ファンにとって興味深いテーマとなっています。

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