EACH TIME

アルバム『EACH TIME』の詳細

『EACH TIME』（イーチ・タイム）は、日本のシンガーソングライター大滝詠一によって1984年3月21日にリリースされたスタジオ・アルバムです。本作は、当初はLP盤とカセットテープとして登場し、後に1984年6月にはCD化が実現しました。この時点で、邦人アーティストとして初めてオリコンCDチャートで3週連続1位を記録したことが評価され、大滝詠一にとって唯一の1位獲得作品となりました。

アルバムの特徴と商業的成功

『EACH TIME』は、シングルが一切カットされていないアルバムとしても知られています。これは、当時の音楽業界では「シングル・ヒットが無ければアルバムは売れない」という通説に挑戦する意味合いを持っていました。その結果、このアルバムは60万枚もの売上を記録し、前作『A LONG VACATION』に引き続き大ヒットを生み出しました。

さらに1989年には、曲順や収録内容を変更したリマスター盤が販売されるなど、様々な形での再リリースが行われました。1991年には元の曲順でCD選書として再発され、更には1997年にはミニディスク（MD）版が発売されました。2004年3月21日には、20周年を記念したボーナストラックを追加したCDが登場します。また、2015年には、別ミックスのエンディング付きバージョンが収録された『NIAGARA CD BOOK II』が発売されました。

エンディングについての論争

『EACH TIME』の中で「レイクサイド ストーリー」という曲のエンディングが、のちの再発盤ではカットバージョンが用いられていました。この変更に関しては賛否があり、指摘されているのは大滝自身のソロ活動の終息や、彼の例の松本隆との別れが影響しているとされています。エンディング付きバージョンは初発時の品番35DH 78で収録されていましたが、その後の変更については様々な意見があるようです。

アルバムコンセプトとジャケット

本アルバムは、一般には『A LONG VACATION』の続編として見受けられていますが、大滝自身はこの作品を一つのストーリーとして構成したとされています。この点については、当初の意図と市場での受け入れ方にギャップが生じていたようです。また、ジャケットアートは河田久雄によるもので、タイトルの「EACH TIME」は大滝が自らをラジオDJ等で名乗っていた「イーチ・オータキ」から影響を受けています。

発売前後のエピソード

アルバムのリリースに関しては、1983年7月28日、大滝の誕生日に発売する予定だったのが、制作上の問題から延期となった経緯があります。このことから、彼は「誕生日は鬼門」と述べています。また、お詫びとして参加した「西武球場スーパーフェス '83」では、『EACH TIME』の楽曲が披露され、結果的に大滝名義での最後のライブ活動となりました。

収録曲とミュージックビデオ

本作には多くの楽曲が収められ、特に「ペパーミント・ブルー」のプロモーション映像が制作されており、テレビで放送されました。また収録曲は全て松本隆と大滝詠一の共作で構成され、音楽界に残した影響は計り知れません。さらに、再発の度に新しいトラックが追加されたり、曲順が調整されたりしました。

このように、『EACH TIME』は時代を超えて愛される作品となり、長きにわたって音楽シーンに多大な影響を与えてきました。

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