EBRC ジャグア

ジャグア装甲偵察戦闘車 (EBRC): フランス陸軍の革新的な装輪装甲車

ジャグア装甲偵察戦闘車（Engin blindé de reconnaissance et de combat、EBRC）は、フランス陸軍のSCORPION計画の中核をなす、新世代の6輪駆動装輪装甲車です。フランス企業の共同事業体によって設計・製造され、市街地や山岳地帯など、多様な地形での戦闘に適応できる能力を備えています。

開発の経緯

フランス軍は、老朽化した軽量装輪戦闘車両の更新を計画していました。この計画に基づいて、ネクスター、タレス、Arquusといったフランスの主要企業が開発を委託されました。当初は70〜250両の調達が想定されていましたが、最終的には300両に増加しました。2020年から納入が開始され、フランス陸軍の装甲騎兵部隊の近代化を推進しています。

ジャグアの開発は、陸軍の装甲騎兵部隊の近代化を目的とした「SCORPION計画」の一環です。この計画は、ルクレール戦車の近代化改修や、VAB装甲車のVMBR（グリフォンおよびサーバル）への置き換えも含まれています。

運用状況

最初の18両のジャグアは2022年2月1日にカンジュエールの第1アフリカ猟兵連隊に納入され、その後も順次配備が進んでいます。第1外人騎兵連隊や海兵歩兵戦車連隊など、フランス陸軍の主要部隊に配備され、偵察任務や戦闘任務に投入されています。

ベルギーもCAMO計画の一環として60両のジャグアを発注しており、2025年から2030年にかけて納入される予定です。これにより、ベルギー陸軍の機械化旅団の戦力が大幅に強化されることになります。

車両の特長

ジャグアは、フランスの偵察車両の伝統的な設計を踏襲しています。運転席は車体前部中央に配置され、2名が搭乗するCTA-40M砲塔が車体中央に、パワーパックが車体後部に配置されています。

火力

ジャグアは、以下の3種類の兵装を搭載しています。

40mm口径40 CTC速射砲: 英仏共同事業体CTA製のこの砲は、テレスコープ弾を発射し、最大45度の仰角で市街地の高層階や低速の航空機にも対応できます。
アケロンMP対戦車ミサイル: 車体左側面に2発が装填された起立式発射筒を備え、最大4,000mの距離の目標を攻撃できます。障害物の背後から発射することも可能です。
* 7.62mm MAG 58機関銃: Arquus T3遠隔操作砲塔（RWS）に搭載され、車長および砲手が操作できます。

機動性

ボルボHDE 11ディーゼルエンジンとZF自動変速機を組み合わせたパワーパックが車体後部に搭載されています。このエンジンは490PSを発揮し、優れた機動性を実現しています。駆動系は「6x4切り替え6x6」式で、後部の4輪は常時駆動され、前輪は運転者の操作に応じて駆動されます。各車軸は独立したハイドロニューマチック・サスペンションを備え、不整地での機動力を向上させています。

防御力

ジャグアは、乗員を高レベルの脅威から保護するために、生存空間構造に基づいて設計されています。車体は地雷やIEDに対応するために地上高が高くされており、高度な装甲板で覆われています。NATOのSTANAG 4569 レベル4規格を満たし、14.5mm徹甲弾や155mm砲弾の爆発に対する防護に対応しています。

アクティブ防御システムとして、レーザー警告システムに連動したGALIX擲弾筒を装備しています。これは、ミサイル発射検知器や音響追跡システム、無線妨害装置などと連携して機能し、車両の生存性を高めます。

ジャグアは、フランス陸軍の将来の戦力の中核となる装輪装甲車であり、偵察、戦闘、治安維持など、多様な任務で活躍することが期待されています。

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