EC番号 (酵素番号)

EC番号（酵素番号）について

EC番号（酵素番号）とは、酵素をその反応形式に基づいて整理するための番号システムです。このシステムは1961年に国際生化学連合の酵素委員会によって導入されましたが、2019年に新たにEC7が加わりました。EC番号は「EC X.X.X.X」とフォーマットされ、最初の数字が酵素の種類を示します。

分類と命名法

EC番号は、酵素の反応特異性や基質特異性に基づいて、細かく分類されています。例えば、最初の数字が「1」なら酸化還元酵素（オキシドレダクターゼ），「2」は転移酵素（トランスフェラーゼ），「3」は加水分解酵素（ヒドロラーゼ）などです。これらの番号は階層的に割り当てられ、ピリオドで区切られた4つの番号がそれぞれの酵素の特性を示します。

• - EC 1.X.X.X: 酸化還元反応の触媒
• - EC 2.X.X.X: 官能基を他の分子に転移する
• - EC 3.X.X.X: 加水分解反応の触媒
• - EC 4.X.X.X: 結合の除去や付加を行う
• - EC 5.X.X.X: 異性体の形成
• - EC 6.X.X.X: 2つの分子を結合させATPのエネルギーを利用する
• - EC 7.X.X.X: イオンや分子を生体膜を超えて移動させる

このように、EC番号はすべての酵素に割り振られており、現在約8,000種類の反応が確認されています。それに加え、一部の酵素は異なる活性を持ち、例えばATP依存性プロテアーゼはATP加水分解だけでなくタンパク質加水分解にも関与します。さらに、EC番号は同じ基質に対して同様の反応を行う酵素群に付与されるため、アイソザイムは同じEC番号を持ちます。

命名規則

酵素の命名は、国際生化学連合の酵素委員会によって制定された規則に従い、常用名と系統名が与えられます。系統名は基質と反応の名称を組み合わせて構成され、例えばある酵素の系統名は「アルコール：NAD+オキシドレダクターゼ」となり、常用名は「アルコールデヒドロゲナーゼ」となります。系統名には反応に関する明確な規則があり、各EC番号に関連る酵素の機能が分かりやすく示されています。

例:

• - EC 1.1.1.1: アルコールデヒドロゲナーゼ（常用名）
• - 系統名: アルコール：NAD+オキシドレダクターゼ

このように、EC番号と命名法により、酵素の機能や特性が統一的に記録され、研究者が容易にアクセスし理解することが可能になります。

EC番号の新設と生化学界への影響

2019年には、新たに「EC7」の括りが設けられ、輸送酵素に関する基準が明確化されました。日本生化学会ではこの新独立カテゴリーを「輸送酵素」と名付け、特に生体膜を超える物質の移動に関連する酵素の研究に注力していくことが期待されています。この変更によって、今後の生化学研究における酵素の役割や相互作用の理解が進むことが期待されます。

結論

EC番号は酵素の分類における重要な基準です。酵素の特性や機能を明示することで、生化学の研究はもちろん、医療分野や生物工学においても非常に重要な役割を果たします。運用の効率化とともに、今後の研究の発展が続くことが望まれています。

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