EDA (半導体)

EDA（電子設計自動化）について

EDA（Electronic Design Automation、電子設計自動化）とは、電子機器や半導体の設計作業を効率化するためのソフトウェア、ハードウェア、手法を指します。EDAの技術は、半導体の設計だけでなく、それに関連する製造やプリント基板設計の自動化にも広がっています。また、EDAは通常、個別のCAD（Computer-Aided Design）やCAE（Computer-Aided Engineering）ツールを包含しており、これらのツールを総称して「EDAツール」と呼びます。EDAを提供する企業は「EDAベンダー」として知られており、特に電子機器や半導体の製造を行う企業では、内製、つまり自社開発のツールを利用することもあります。

EDAの歴史

1960年代

EDAの歴史は1960年代初頭に遡ることができ、最初の重要なツールである回路シミュレータSPICEがカリフォルニア大学バークレーで開発されました。当時はメインフレームコンピュータが主流であり、SPICEはその後多くの派生版が開発され、現在でも使用されています。

1970年代

1970年代には、半導体レイアウト設計用のCADシステムがアメリカの企業によって次々と登場しました。カルマー社やアプリコン社が代表的な企業であり、それぞれがミニコンをホストコンピュータに利用したターンキーシステムを提供しました。これらの企業はいずれも消滅しましたが、カルマー社が開発したGDSII（ストリーム）形式は現在でも広く利用されています。日本では、セイコー電子工業や図研といった企業もCADシステムを開発しました。ただし、当時のCADシステムは非常に高額だったため、設計者が直接使用するのではなく、専任のオペレータがデータの入力や修正を行うケースが一般的でした。

1980年代

1980年代になると、論理回路設計のためのCAEシステムが登場し、メンター・グラフィックス、デイジー、バリッドといった企業が後に名を馳せました。この時期、エンジニアリングワークステーション（EWS）がプラットフォームとして広まる一方、設計者がツールを占有して使う形が普及しました。また、レイアウト設計と論理設計のデータを比較するツールも登場し、計算幾何学の技術を基にした多くの図形データを効率的に処理する手法が確立されました。

1990年代から現代

1990年代には、半導体製造工程の微細化に伴う諸課題を解決するための新たなツールが開発され始め、静的タイミング解析やクロックツリー合成などの技術が並びました。さらに、HDL（ハードウェア記述言語）が普及し、言語による設計が実現されました。

1990年代後半からは、HDLよりも抽象度の高い表現を可能にするシステム記述言語が開発され、デザインプロセス全体が急速に進化しました。これにより、複雑なシステムを設計するための新しい手法が頻繁に生まれています。

EDAA（設計の自動化）は、技術の進化とともに絶え間なく発展を続けており、EDAツールの新しい製品の発表場として年1回のDesign Automation Conference（DAC）が米国で開催されています。加えて、日本ではElectronic Design and Solution Fairが毎年開かれ、アジア版DACとなる国際会議ASP-DACも行われています。現在、EDA市場は幾つかの大手企業により寡占状態にある一方で、新興企業も新たなツールを開発し続けています。

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