EMD GP38-2形ディーゼル機関車

EMD GP38-2ディーゼル機関車：北米鉄道の主力機

EMD GP38-2は、アメリカ合衆国のゼネラルモーターズ・エレクトロモーティブ・ディビジョン（GM-EMD）が製造した、4軸のロードスイッチャー型ディーゼル機関車です。EMD GP38の改良版として、Dash 2シリーズの一形式として登場しました。高い信頼性と汎用性から、北米の鉄道会社で数多く運用され、その活躍は現在も続いています。本記事では、GP38-2とその派生形式であるGP38-2L、GP38-2Wについて詳しく解説します。

GP38-2：基本仕様と特徴

GP38-2は、外観は先行モデルであるGP38とほぼ変わりません。冷却水の点検窓の位置やバッテリーケースの固定方法などに若干の違いが見られる程度です。しかし、エンジンシステムには重要な変更が加えられています。GP39-2やGP40-2といった同シリーズの他の機関車がターボチャージャーを使用しているのに対し、GP38-2はルーツブロワ式のエンジンを搭載しているため、排気口が発電ブレーキのファンの横に2つ設置されている点が大きな違いです。この設計は、GP38-2の信頼性と耐久性に貢献しています。

GP38-2L：リース車両

多くのGP38-2は鉄道会社に直接納入されましたが、リース会社を通じて運用される車両も多く存在しました。リース車両には、形式名末尾に「L」が付加され、GP38-2Lと表記されました。しかし、Lの付かないリース車両も存在しており、識別には注意が必要です。リース車両の運用状況は多様で、様々な鉄道会社で一時的に使用された後、売却や転売が行われたケースもあります。

GP38-2W：カナダ仕様

カナダ市場向けに製造されたGP38-2Wは、標準型GP38-2といくつかの重要な違いがあります。最も顕著な違いは、「カナディアン・コンフォート・キャブ」と呼ばれる運転台です。この運転台は前頭部ボンネットの幅が広く、寒冷地での運転に配慮した設計となっています。また、寒冷地特有の積雪対策として、運転台背後の空気取り入れ口に雪の浸入を防ぐフィルターが装着されています。さらに、電装品箱や送風機の形状もGP38-2とは異なり、カナダの厳しい気候条件に対応した設計となっています。

製造と運用

GP38-2とその派生型は、アメリカ、カナダ、メキシコの鉄道会社に多数納入されました。アメリカでは1801両、カナダでは254両、メキシコでは133両がそれぞれ導入されました。メキシコ向けには、蒸気発生装置を搭載した車両もあり、これは前頭部のボンネットの高さが高く「ハイフード」と呼ばれています。これらは、それぞれの地域の気候や運用条件に合わせた仕様となっています。

登場作品

GP38-2は、イギリスで制作されたアニメ『チャギントン』にも登場しています。劇中では「ダンバー」という名前の機関車として活躍し、子どもたちに親しまれています。これは、GP38-2のデザインがアニメーションの世界にも影響を与えた一例と言えるでしょう。

まとめ

EMD GP38-2は、その信頼性、汎用性、そしてバリエーションの豊富さから、北米の鉄道輸送に大きく貢献した機関車です。本記事では、GP38-2の基本的な仕様から、派生形式、製造数、そして登場作品まで、多角的に解説しました。GP38-2は、近代鉄道史において重要な地位を占める機関車と言えるでしょう。今後、これらの機関車がどのように維持・運用されていくのか、注目に値します。

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