EPCRチャレンジカップ

EPCRチャレンジカップとは

EPCRチャレンジカップ（EPCR Challenge Cup）は、ヨーロッパ各国および南アフリカ共和国から集まるクラブチームが参加する、権威あるラグビーユニオンの国際大会です。ヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップの下位に位置づけられており、主に上位大会への出場権を獲得できなかったチームに、国際舞台での経験と栄光を目指す機会を提供します。この大会は、ヨーロピアン・プロフェッショナル・クラブ・ラグビー（European Professional Club Rugby）、略称EPCRによって運営されています。

参加チームの選出

EPCRチャレンジカップに参加するチームは、前シーズンの各国内リーグや地域リーグの成績に基づいて決定されます。上位大会であるヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップへの出場資格を得られなかったチームを中心に構成されるのが特徴です。具体的な参加チーム数はシーズンによって変動することがありますが、たとえば直近の2024-25シーズンには合計18チームが参加しました。これらのチームは、主にイングランド最高峰リーグ「プレミアシップ・ラグビー」の下位チーム、フランス最高峰リーグ「フランス選手権トップ14」の下位チーム、そしてウェールズ、スコットランド、アイルランド、イタリア、南アフリカ共和国のクラブで構成される国際リーグ「ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ（URC）」の下位チームから選ばれます。これに加え、推薦枠による参加チームも存在します。参加クラブの内訳は、そのシーズンの各リーグの構成や成績によって調整されます。

大会方式

大会方式は開催シーズンによって若干の変更がありますが、基本的な流れとしてプールステージとノックアウトステージに分かれています。2024-25シーズンを例に挙げると、以下の形式で行われます。

プールステージ: 参加する全18チームがいくつかのプールに分けられ、総当たり戦またはクロスプール方式で試合を行います。各プールの上位チームがノックアウトステージへの進出権を獲得します。2024-25シーズンでは、プールステージを通過した12チームが次のラウンドへ進みました。

ノックアウトステージ: プールステージを勝ち抜いたチームに、そのシーズンに開催された上位大会であるヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップのプールステージで敗退したチームの一部（2024-25シーズンでは4チーム）が加わり、合計16チームによるトーナメント戦が行われます。ラウンド16から始まり、準々決勝、準決勝を経て、決勝で優勝チームが決定されます。各試合は一発勝負で行われ、緊迫した戦いが繰り広げられます。

歴史

EPCRチャレンジカップの歴史は、ラグビーユニオンのプロ化が進んだ1990年代に遡ります。1995年にラグビーがオープン化されると、ヨーロッパのクラブチームによる国際大会として「ハイネケンカップ」（現在のヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップの源流）が創設されました。

その翌年、1996-97シーズンには、ハイネケンカップの下位大会として「ヨーロピアン・チャレンジカップ（European Challenge Cup）」が誕生しました。これが現在のEPCRチャレンジカップの直接的な起源となります。第1回大会には24チームが参加し、初期の2シーズンは「ヨーロピアン・カンファレンス（European Conference）」とも呼ばれることがありました。

その後、参加チーム数の増加や大会形式の調整を経て、名称が一時的に変更されることもありました。1998-99シーズンからの3シーズンは「ヨーロピアン・シールド（European Shield）」とも呼ばれ、2001-02シーズンから4シーズンは冠スポンサーの名称を冠して「パーカー・ペン・シールド（Parker Pen Shield）」として知られました。さらに、2009-10シーズンから5シーズンは保険会社アムリンがスポンサーとなり、「アムリン・チャレンジカップ（Amlin Challenge Cup）」の名称で開催されました。

大会の運営体制も変化を遂げています。初期はヨーロッパ・ラグビー・カップ（European Rugby Cup、ERC）がハイネケンカップと共に運営を担っていましたが、大会形式や収益分配に関する意見の対立から、2014年にイングランドとフランスのクラブがERCから脱退し、新たな運営組織としてEPCR（European Professional Club Rugby）を設立しました。これにより、2014-15シーズンからはEPCRが両大会の運営を引き継ぎ、現在に至っています。

大会名称は、運営組織名に合わせて2021-22シーズンから現在の「EPCRチャレンジカップ」に変更されました。また、地理的な広がりとして、それまでスーパーラグビーなどで活動していた南アフリカ共和国のクラブチームが、2022-23シーズンからこの大会への参加を開始し、より国際色豊かな大会となっています。

EPCRチャレンジカップは、ヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップへのステップアップを目指すクラブや、各国のリーグで惜しくも上位に入れなかったクラブにとって、国際舞台で実力を試し、タイトル獲得を目指す重要な機会であり続けています。

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