ExaScaler

ExaScalerについて

ExaScaler（エクサスケーラー）は、革新的な液浸冷却システムを駆使したスーパーコンピューターの研究開発と販売を手がける企業です。彼らの技術は、従来の冷却方式とは異なり、特に高沸点のフッ化炭素を冷媒として使用し、システム基板全体を液体に浸すことで、効果的に過熱を防ぎます。この方法は電気伝導性のない不活性液体を利用するため、安全性が高く、冷却効率も優れています。

液浸冷却の特長

一般的な液冷手法では、冷媒が熱伝導性のある材料、例えば銅を通って半導体を冷却しますが、ExaScalerのアプローチはこれを一新します。冷媒を全体に行き渡らせることで、パワーサプライユニットやDCDC変換装置、さらにはストレージデバイスまで、すべての部品を均一かつ効率的に冷却します。この技術の利点は、機器の過熱を防ぎ、運用コストの低減にも寄与する点です。

ExaScalerはPEZY Computing社と提携し、スーパーコンピューターの共同開発を行っています。ここではExaScalerが液浸冷却技術を担当し、PEZY Computingがマルチコアプロセッサの開発を行う役割を担っています。共同開発の成果として、理化学研究所にあるスーパーコンピュータ群、例えばShoubu（菖蒲）やSatsuki（皐月）などが実績として挙げられます。これらのシステムは高性能な計算を実現し、科学技術の発展に寄与しています。

世界的な評価

ExaScalerの開発したスーパーコンピュータは、世界ランキング「TOP500」にも名を連ねており、特に省エネルギー性能を重視した「Green500」ランキングでも注目されました。2014年には、PEZY Computingと共に開発した小型スーパーコンピュータが初めて世界第2位を獲得し、翌年には世界第1位から第3位を独占する快挙を成し遂げました。また、2016年には理化学研究所のShoubuが連続して世界第1位の座を確保しています。

企業の沿革

ExaScalerは2014年4月に設立され、その後、様々な研究機関との共同研究契約を結ぶなど、着実に成長してきました。特に2015年にはHPCシステムズや豊田通商、富士通のベンチャーキャピタルとの提携が進み、事業基盤を強化しました。また、2017年にはヤフーにスーパーコンピュータ「kukai」を納品するなど、業界内での存在感を高めています。

不祥事とその影響

しかし、ExaScalerは不祥事にも直面しました。代表取締役会長の齊藤元章が助成金の不正受給で起訴されるという事態が発生し、これにより科学技術振興機構（JST）は同社に対して開発中止を決定しました。この件により、約52億円の開発費の全額返還を求められることとなりました。これによりExaScalerの名声や信頼性が試されることとなり、その影響は企業全体に及ぶこととなりました。

このように、ExaScalerは独自の液浸冷却技術を武器に革新を進めている企業である一方、内部的な問題にも直面している状況があります。今後の成長が期待される一方で、経営の透明性とガバナンスの重要性も再確認される場面となっています。

参考文献

• - 株式会社ExaScaler
• - 株式会社PEZY Computing
• - ウルトラメモリ株式会社
• - 株式会社Deep Insights

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