Extended Graphics Array

XGA (Extended Graphics Array)：高解像度表示の幕開けと、その栄枯盛衰

1990年代初頭、パーソナルコンピュータの世界に画期的なビデオ規格が登場しました。それが、IBMによって開発されたXGA（Extended Graphics Array）です。XGAは、それまでのVGA規格を上回る高解像度表示を実現したことで知られています。最大1024×768ピクセルの解像度をサポートし、256色表示を可能にしたこの規格は、特にCADなどの高度なグラフィック処理を必要とするアプリケーションにおいて大きな注目を集めました。

XGAの技術的特徴

XGAは、単に解像度を高めただけでなく、VGAや8514/Aといった既存の規格との上位互換性を備えていた点が大きな特徴です。既存のアプリケーションとの互換性を維持しつつ、より精細な画像表示を実現できた点が評価されました。さらに、I/Oアドレスやレジスタ定義などが明確に規定されており、ハードウェア開発者にとって扱いやすい規格でした。

XGAは、さまざまなアクセラレーション機能を搭載していたことも特徴の一つです。特にCAD用途においては、これらの機能が作業効率の向上に大きく貢献しました。このため、XGAは広義にはSVGA（Super VGA）の一種と捉えることもできます。SVGAは、VGAを拡張した様々な解像度に対応できる規格の総称ですが、XGAはその中でも特に高解像度表示に特化した規格と言えるでしょう。

XGA-2：65535色の世界へ

1992年には、XGAの後継規格としてXGA-2が登場しました。XGA-2は、1024×768ピクセルの解像度で65535色表示をサポートし、より鮮やかな画像表示を実現しました。しかし、XGA-2は、市場での普及には至りませんでした。その理由として、安価で多彩な表示モードを持つSVGA規格の普及が挙げられます。各社から様々なSVGA製品が発売され、市場を席巻したのです。

SVGA製品の中には、規格が明確に定義されていないものも多く、アクセラレーション機能が十分に活用できないケースもありました。しかし、コストパフォーマンスの高さから、XGA-2は市場で競争力を失い、広く普及することはありませんでした。

ハードウェアと市場

XGAは、MCAまたはISAバスに対応した拡張カードとして販売されました。PCIバスに対応したXGAカードは存在せず、これはXGAの普及を阻害した要因の一つと考えられます。また、XGAに完全互換するチップセットも存在しませんでしたが、一部の機能をサポートしたチップセットがIIT社から発売されたことは特筆に値します。

なお、1024×768という解像度は、元々はIBMの独自規格である8514/Aで採用されました。その後、VESA（ビデオエレクトロニクス・スタンダード・アソシエーション）が1024×768を標準的な解像度のひとつとして指定したことで、この解像度は広く普及することになりました。

まとめ

XGAは、高解像度表示を実現した画期的なビデオ規格として登場し、特にプロフェッショナル用途で高い評価を受けました。しかし、安価で多様な機能を持つSVGA規格の台頭によって、市場でのシェアを奪われ、短期間でその歴史を終えました。XGAは、コンピュータグラフィックスの歴史において重要な役割を果たした規格として、その技術的貢献は記憶されるべきでしょう。

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