F-105 (航空機)

F-105 サンダーチーフについて

F-105 サンダーチーフ（F-105 Thunderchief）は、アメリカのリパブリック社によって開発された戦闘爆撃機で、その名は「雷の王」や「雷神」との意味が込められています。この機体は、単座の単発機であり、後に複座型も存在するF/G型が開発されました。

概要

F-105は、リパブリック社のF-84の後継機として設計され、機体内に爆弾倉を備えた初の戦闘爆撃機として知られています。その爆撃能力は、当時の軽爆撃機に取って代わるほどのもので、「FとBを付け間違えた」とさえ噂されましたが、その潜在能力を活かし、ベトナム戦争において主に爆撃任務を遂行したほか、北ベトナム軍機を27.5機撃墜する成果も上げました。大出力のエンジンを搭載し、機動力と搭載量の両立を実現しており、現在ではマルチロール機の先駆けとも言われています。

F-105のニックネームは「サンダーチーフ」であり、これはリパブリック社の他の戦闘機と同様に「サンダー」に由来しています。また、「Thud」や「Thunderthud」といった爆弾の落下音からの愛称や、「Hyper-Hog」や「Ultra-Hog」など、様々な非公式の愛称も存在しました。これらはそれぞれの特徴や機能を示すものとして、現場や関係者の間で親しまれました。

開発の経緯

リパブリックは1951年に「アドバンスド・プロジェクト63」を設立し、次世代の軍用機の開発に着手しました。設計はP-47 サンダーボルトの設計者が主導し、1952年には国防総省に提案がなされ、最終的な開発契約が結ばれました。しかし、変更や遅延が相次ぎ、試作機も含めて多くの試行錯誤が行われました。

1955年には、YF-105Aが初飛行を果たし、その後も技術の進化や設計の見直しが進められましたが、開発には多くの障害がありました。その中でも、エンジンの変更や各種機能の追加が行われ、最終的にF-105Bとして納入が開始されました。

実戦投入

ベトナム戦争において、F-105は北ベトナムに対する爆撃攻撃の75%を担当し、初期段階ではその性能を評価されました。しかし、機体内の爆弾倉は核攻撃専用であり、通常爆弾は外部に搭載する必要がありました。この特性により、運用上の制限もありました。また、高速性能を生かして戦闘機としても活躍することが期待されましたが、MiG-17との戦闘では苦戦を強いられる場面もありました。

主力型となったF-105Dは、高度な航法システムや火器管制システムを搭載し、自動的な作戦遂行が可能でしたが、回避機動ができないため、その使用頻度は低かったと言われています。この機体は、特に「ワイルド・ウィーゼル」型として地対空ミサイルの排除任務でも活用されました。F-105の生産機数は751機に達し、そのうちの多くが戦闘や作戦中に失われました。

最後の運用と派生型

ベトナム戦争後、F-105は後方任務に回され、最終的には1983年に退役しました。当時のアクロバットチームのサンダーバーズでの使用も試みられましたが、事故が相次ぎ早々に使用停止となりました。これに対して、F-105G型は長期間にわたり運用され続け、1980年代に入ってからは後継機であるF-4Gとの交代が進められました。

まとめ

F-105サンダーチーフは、その開発から実戦投入まで、数多くの挑戦と成功が交わる軍用機でした。特にベトナム戦争における役割は重要で、その性能と特性のために多くの支持を受け続けました。

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