F-15SE (航空機)

F-15SE（サイレントイーグル）

F-15SEは、ボーイング社が手掛けた戦闘爆撃機で、マクドネル・ダグラス製のF-15E ストライクイーグルを基に開発されています。この機体は、特にステルス性の向上が図られており、その名称『サイレントイーグル』は、その特徴を示しています。F-15SEの設計には、様々な先進的な技術が採用されています。

概要

F-15SEは、基本となるF-15Eから改良・派生した、輸出向けのモデルです。この機体では、ウェポンベイ化されたコンフォーマル・フューエル・タンクやレーダー波を吸収する素材、さらにキャノピーの素材変更が施されています。垂直尾翼は外側に10°傾斜されています。また、エンジンの吸気口にはレーダーブロッカーが装備されていますが、これについてはオプションとされています。これらの改善によりF-15SEは、F-22やF-35などの最新の第5世代ジェット戦闘機に近いステルス性を持つとされています。

アビオニクスとシステム

F-15SEは、アビオニクスにも革新がもたらされています。レーダーはAESA（アクティブ・エレクトロニック・スキャン・アレイ）を採用し、防御電子戦機器としてBAEシステムズ製の最新デジタル式電子戦システム（DEWS）が統合されています。コックピットはF-35に類似したタッチパネル式液晶ディスプレイを採用した新型システムに換装される予定です。

機体軽量化も進められ、さらに低燃費化が図られています。最新のデジタル・フライ・バイ・ワイヤ制御システムにより、操縦性の向上も図られています。コンフォーマル・ウェポンベイ（CWB）を採用し、内部兵器の搭載によるレーダー断面積（RCS）の増大を抑える工夫もされており、必要に応じて兵装ドアを開いて利用します。

兵装と運用性能

F-15SEは、側面と下部にそれぞれ兵装搭載ステーションを持ち、空対空ミサイルや空対地兵器を効率的に運用できる設計です。空対空ミサイルの場合、AIM-9とAIM-120をそれぞれ2発ずつ装備でき、空対地兵器も一定数搭載可能です。さらに、CWBが設けられ、必要に応じて燃料スペースも確保されています。このシステムは、搭載量の要求に応じて30分程度で交換できる互換性を持っています。

航続性能についても、F-15Eと比較した場合、約20%の減少に留まるとされており、デジタル技術の進化により燃料タンクの追加が可能になります。あわせて、垂直尾翼の傾斜は、機体後方での揚力を向上させることにも寄与しています。

開発経緯と輸出の展望

F-15SEは2009年に発表され、2010年には初飛行が行われました。飛行テストでは、コンフォーマル・ウェポンベイの開閉操作などが行われ、徐々に開発が進められています。2014年にはデモンストレーター機への新技術が適用され、最新の機能が実施されています。

輸出面では、アメリカの空軍をはじめ、イスラエルや日本、韓国などへの販売が提案されていますが、実際に採用する国はありません。特に韓国では、F-15SEの導入に関する交渉が進められましたが、他の選択肢（日米のF-35など）との競争が影響し、難航しています。しかし、今後もF-15SEの技術が他のF-15モデルに適用され、さらなる発展が期待されています。

F-15SEは、その高いステルス性と最新の技術を融合させた戦闘機であり、今後の展開が注目されます。

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