F.F.B.

キングギドラのシングル「F.F.B.」は、グループが長期間の活動休止から復帰した2002年、デフスターレコーズより4月10日に発売されました。

このシングルは、同時発売された「UNSTOPPABLE」と共に、キングギドラの活動再開を告げる第一弾作品として大きな注目を集めました。CDに加え、両シングルはアナログ盤も同時にリリースされています。

しかし、本作は発売直後に大きな波紋を広げることとなります。特に表題曲である「F.F.B.」の歌詞内容が問題視されました。発売当初のCDジャケットには、「制作者の意図により、一部歌詞を掲載しておりません」という異例の注記が記載されていました。リリース後、この楽曲に含まれる表現がHIV感染者に対する偏見を助長するものであるとして、批判や抗議が多数寄せられる事態に発展しました。さらに、同時に発売されたシングル「UNSTOPPABLE」に収録されていた楽曲「ドライブバイ」も同様に問題視されました。歌詞中の「Fast Food Bitch」というフレーズに含まれる特定の言葉遣いも、論争の一因になったとされています。

こうした社会的な反応を受け、レーベルは同年4月中に「F.F.B.」および「UNSTOPPABLE」の両シングルについて、販売停止と市場からの回収という苦渋の決断を下しました。これは当時の日本のヒップホップシーンにおいて、作品が公に問題視され、流通が止められるという極めて異例の出来事でした。

販売停止から間もない同年4月27日、デフスターレコーズは改めてシングル「UNSTOPPABLE」を再発売しました。この再発売盤は、先に問題となった両シングルの収録曲を再構成し、歌詞の一部に変更を加えるなどの対応を行ったバージョンでした。

また、後にリリースされたキングギドラのアルバム『最終兵器』および同名の映像作品には、「F.F.B.」が収録されましたが、この際は問題視された箇所を中心に歌詞が変更されたバージョンが採用されています。

商業的な側面では、オリジナルの「UNSTOPPABLE」シングルよりも本作「F.F.B.」の方が売れ行きは好調だったとされています。しかし、テレビ朝日の音楽ランキング番組『速報!歌の大辞10』で紹介された際には、なぜか「UNSTOPPABLE」の方が上位にランクインし、トップテン入りを果たしました。キングギドラのメンバー3人はトップテン入りした「UNSTOPPABLE」についてコメント出演しましたが、「F.F.B.」はトップテン以下となり、短いサビのみが流される扱いに留まり、両シングルの間でテレビでの取り上げられ方に差が見られました。

CDシングルに収録された楽曲は以下の通りです。

1. F.F.B.
2. 平成維新 feat. 童子-T & UZI
この楽曲は、「侍」や「忍者」といった日本の伝統的なスタイルをイメージしつつ、現代社会である平成の世の中を自分たちの音楽で変えていこうという強いメッセージが込められています。サンプリングとして、DABOの「拍手喝采」、RHYMESTERの「ブラザーズ」、K DUB SHINEの「機能停止」がクレジットされています。
3. 夜明け
インストゥルメンタル楽曲です。
4. F.F.B. (Instrumental)
5. 平成維新 (Instrumental)

アナログ盤の収録曲は、CDとは構成が異なり、サイドAに「F.F.B.」関連、サイドBに「平成維新」関連のトラックがまとめられています。

SIDE A:
1. F.F.B.
2. F.F.B. (Instrumental)
3. F.F.B. (Acappella)

SIDE B:
1. 平成維新 feat. 童子-T & UZI
2. 平成維新 (Instrumental)
3. 平成維新 (Acappella)

「F.F.B.」は、キングギドラの復帰を告げるシングルでありながら、その歌詞内容が社会的な問題提起と論争を引き起こし、結果として販売停止・回収、そして再発売という異例の経緯を辿った、グループのディスコグラフィにおいて特筆すべき一枚です。

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