F2H (航空機)

F2H バンシー (McDonnell F2H Banshee)

概要

F2Hバンシーは、アメリカのマクダネル社によって開発され、アメリカ海軍で使用された艦上戦闘機です。この機体は、スコットランドの伝説に由来する「バンシー」という愛称で知られています。1962年には、新しい命名規則に基づいてF-2バンシーと改名されました。F2Hは、世界で初めての純ジェット艦上戦闘機であるFHファントムの進化版として登場し、かなりの数が生産されました。第二次世界大戦後の需要変化をうけて、最終的に800機以上が製造され、カナダ海軍でも利用されました。

開発の歴史

F2Hの開発は1945年3月に始まりました。初飛行は同年の7月11日で、その前年に初飛行したFHファントムの成功を受けたものでした。試作機の開発は、他社が手掛ける新型ジェット艦上戦闘機の進展が遅れたことに対する「保険」として行われました。そのため、F2Hは迅速に設計され、1949年から部隊に配備が始まりました。広い開発余地があり、様々な派生型が登場しました。特に、戦闘爆撃機型や全天候型戦闘機型、さらには偵察機型などが開発されました。1962年には、アメリカ軍の航空機命名統一に伴い、F-2に改名されました。

運用実績

アメリカ海軍および海兵隊

F2Hは、朝鮮戦争においてアメリカ海軍の第7艦隊の艦載機として実戦に投入されました。この時、彼らは「banjo」との愛称で親しまれました。F2Hは高空性能に優れ、敵航空機を迎撃するだけでなく、戦争の進展と共に補給線の攻撃や近接航空支援にも貢献しました。また、前線での任務は主にF-86が担っていたため、F2Hの撃墜記録はありません。海兵隊でも偵察型F2H-2Pが特に有用で、目視による対空火力の基準に合わせて高空からの偵察任務に成功しました。これにより貴重な情報が得られました。

カナダ海軍

カナダ海軍でもF2Hは導入され、1955年から1958年の間に運用が開始されました。最初はホーカー・シーフューリーの後継機として検討され、その後、空母ボナヴェンチャー艦載機として運用されました。カナダ海軍ではミサイル装備の試験も行いましたが、1962年には対潜能力の向上や予算制限から退役しています。

機体の設計

F2Hの設計は非常に堅実で、基本形状はFHファントムを大型化したものでした。機体は葉巻型で、直線翼の主翼が低い位置に取り付けられています。2基の強化されたジェットエンジンは主翼の付け根に配置され、推力はFHに比べてほぼ2倍に強化されています。武装も改良され、主に20mm機関砲が搭載されています。また、F2H-2以降は主翼が強化され、取り外し可能な翼端燃料タンクを装備可能になりました。これにより、戦闘任務における柔軟性が増しました。

諸元と型式

F2Hには様々な機種が存在し、試作機XF2H-1から、量産型F2H-1、エンジンが強化されたF2H-2、万能な任務に対応したF2H-3、最終生産型のF2H-4まで多くの型があります。特にF2H-3は全天候型として傑出した性能をもっていました。

現在の状況

F2Hバンシーは、少数がまだ博物館や展示場などに保存されており、大きな歴史的意義を持つ機体です。

もう一度検索