F5D (航空機)

F5D スカイランサー

F5Dスカイランサー（Douglas F5D Skylancer）は、アメリカのダグラス社によって、アメリカ海軍向けに設計された艦上戦闘機です。この機体は、先代のF4Dスカイレイの改良型として開発されましたが、量産されることはなく、試作機のみが製造されました。「スカイランサー」という愛称は、空の槍騎兵を意味しています。

概要

F5Dは、ダグラス社の前作であるF4Dスカイレイ戦闘機の改良版です。競作関係にあったF-8クルセイダーがその性能において優れていたため、この機体は採用はされたものの、量産は行われませんでした。

設計

F5Dの外形はF4Dと類似しており、丸みを帯びたデルタ翼を持つデザインです。しかし、F5Dは機体サイズが大きく設計されており、多くの改良が施されています。全長は3メートル近く増加し、エリアルールが適用されています。主翼の厚みが減少し、垂直尾翼が拡大され、キャノピーや機首がより鋭角的な形状になっています。

さらに、搭載ミサイルの数が増え、燃料容量の拡大により航続距離も向上しました。機体には新型のレーダーや火力管制システム（FCS）が搭載され、エンジンにはF4D-1と同じP&W J57-P-8ターボジェットが使われましたが、量産型ではP&W J57-P-14や、さらに強力なGE J79エンジンの搭載も計画されていました。

開発・運用

F4D-1戦闘機は、優れた高速性能を持ちながら、全天候性能や航続距離に課題がありました。そのため、1953年には新たな改良型F4D-2Nが提案され、開発が進められました。F4D-1との差異が大きくなったことから、名称はXF5D-1に変更されました。

初飛行は1956年4月21日に行われ、ここで超音速飛行に成功しました。この初飛行前に、試作機2機に加え、先行量産型として9機、さらに量産型51機の発注がなされましたが、試作機2機と先行量産型2機が完成したところで、F-8クルセイダーの採用が決定したため、量産命令は取り消されました。

その後、F5DはNASAに引き渡され、1961年までに墜落で失われた2機を除く2機が運用されました。BuNo. 139208号機はNASA 212（のちにNASA 708に改称）、BuNo. 142350号機はNASA 213（のちにNASA 802に改称）として飛行試験に利用されました。これらの機体は、超音速輸送機の研究や、飛行特性が類似していたことからX-20（ダイナソア）計画の訓練にも使用されました。

1963年にダイナソア計画が中止された後も、これらの機体はシミュレーターや追跡機などさまざまな用途で1970年まで使用されました。また、ニール・アームストロングがその計画中に搭乗したこともあり、現在は一機がニール・アームストロング航空宇宙博物館に展示されています。

現存する機体

現在、アメリカ国内には2機のF5Dスカイランサーが現存しています。

参考文献

• - 「アメリカ海軍機 1946-2000 増補改訂版 ミリタリーエアクラフト’01年2月号別冊 デルタ出版」

外部リンク

• - [F5D-1 Skylancer]
• - [NASA Dryden F5D-1 Skylancer Photo Collection]

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