FBモンディアル

FBモンディアル：栄光と挫折のイタリアンモーターサイクル

ミラノに拠点を置くオートバイメーカー、FBモンディアル。その歴史は、第二次世界大戦後のイタリアにおいて、ボゼッリ兄弟が配達用三輪バイクからオートバイ製造へと事業転換した1948年に始まりました。

創業から解散：ロードレースでの栄光と技術力の高さ

戦後、本格的なオートバイ生産に乗り出したボゼッリ兄弟は、1950年代にロードレース世界選手権で大きな成功を収めます。数々のチャンピオンを輩出し、その技術力は高く評価されました。特に、ドゥカティに先駆けてデスモドロミック式バルブ機構を開発したことは、その技術力の高さを示す象徴的な出来事です。しかし、1957年シーズン終了後、販売不振やコスト増大といった問題に直面し、レース活動から撤退を余儀なくされます。

興味深いことに、世界的なオートバイメーカーであるホンダは、1957年、世界選手権から撤退したFBモンディアルのレースバイクを譲り受け、その技術を自社のGPマシン開発に役立てています。現在、この貴重なマシンはホンダのツインリンクもてぎにあるコレクションホールで展示されています。

高度な技術力とレースでの成功にも関わらず、FBモンディアルは1979年に一度解散しました。

復活と混乱：権利争いと破産の危機

それから20年後の1999年、イタリアの出版界の大物、ロベルト・ジレッティ氏がFBモンディアルの権利を取得し、同社の復活劇が始まります。2000年には、ホンダのエンジンを搭載した新型バイク『ピエガ』を発表、大きな話題を呼びました。ホンダがエンジン供給に協力した背景には、かつてFBモンディアルからレースバイクを譲り受けたという歴史的な関係性が存在したと考えられます。

その後、オフロードバイクブランドVORの買収など、積極的な事業展開を試みましたが、2004年には経営難に陥り、アルコレの工場と生産設備は破産裁判所に差し押さえられました。

FBモンディアルの権利をめぐっては、その後も様々な出来事が発生しました。アメリカ合衆国のアンドリュー・ライト氏による買収の動きや、裁判所による権利の売却など、複雑な状況が続きました。アンドリュー・ライト氏自身、密輸や詐欺などの容疑で有罪判決を受け、逃亡するなど、FBモンディアルの権利を巡る問題は混沌としていました。

結び

FBモンディアルの歴史は、成功と挫折、そして複雑な権利問題が絡み合った、ドラマチックな物語です。高度な技術力とロードレースでの活躍は、イタリアのモーターサイクル史に大きな足跡を残しましたが、その後の経営状況は不安定さを極めました。現在、FBモンディアルの未来は依然として不透明なままです。 今後の動向が注目されます。

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