FESTA

FESTA（フェスタ） - 姫路駅前の商業施設の変遷

はじめに

兵庫県姫路市、姫路駅北側に位置する商業施設「FESTA（フェスタ）」は、長い歴史を持つ駅ビルです。現在、北館と南館からなるFESTAは、株式会社フェスタ（旧：株式会社姫路駅ビル）が運営しています。本記事では、現在のFESTAの概要に加え、その前身である初代姫路駅ビルの歴史にも触れていきます。

初代姫路駅ビル：1959年から2011年までの歴史

1959年11月、日本で23番目の民衆駅として初代姫路駅ビルが開業しました。兵庫県内では最も早く開業した民衆駅であり、地下街（現在のグランフェスタ）も同時にオープンしました。

駅ビル内には「姫路駅デパート」として、書店、飲食店、衣料品店などの商業施設に加え、映画館、診療所、屋上遊園地なども入居していました。多様なテナントが入り、地域住民にとって賑わいのある場所だったと言えるでしょう。

1972年には新幹線開通に伴い改装工事を経て、1983年には全面改装を行い、「FESTA」と改称されました。その後、長きに渡り姫路駅前地区のランドマークとして親しまれてきました。

しかし、2006年から始まった姫路駅の高架化と駅周辺の再開発事業により、初代駅ビルの建て替えが決定されました。2010年には姫路市営バスの業務が神姫バスに移譲され、バスターミナルも移転しました。

2011年1月、初代駅ビルは閉館し、解体工事が開始されました。約40店舗が新築された「フェスタ南館」に移転した後、初代駅ビルの跡地は駅前広場やサンクンガーデンとして整備され、現在は新たな街並の一部となっています。新たな駅ビル「ピオレ姫路」も、初代駅ビルの跡地から南に約50メートル離れた場所に建設されました。

FESTA（フェスタ）北館と南館

初代駅ビルの解体後、新たに建設されたのが現在のFESTAの北館と南館です。南館は地上4階建て、延床面積約28880平方メートル、総工費は約10億円を投じて建設されました。

南館には、飲食店を中心に、サンマルクカフェ、播州ダイニングGOTTO、PABLO、三井住友銀行などのテナントが入居しています。一方、北館の詳細は公開情報が限られているため、ここでは割愛させていただきます。

初代駅ビルの構造とテナント

初代駅ビルは地下1階、地上5階建て（中2階あり）の鉄筋コンクリート造で、東西幅151メートル、南北奥行きは1階部分が15メートル、2階以上が19メートルという規模でした。敷地面積は2140平方メートル、延床面積は1170575平方メートルに及びました。

開業当初は、地下には飲食店、理髪店、美容室、公衆浴場などが入居し、1階には国鉄施設（当時）、観光案内所、売店、喫茶店などが営業していました。階によってテナントの構成は異なり、2階には誘致店舗や食堂、3階には貸事務所、食堂、土産物店、4階には食堂、喫茶店、会社事務所、5階には展望台、売店、会社会議室などが設置されていました。

閉館間際には、ジュンク堂書店、文化センター、歯科、眼科、薬局、美容室などが入居していました。

旧駅前ビルの概要

初代駅ビル以外にも、旧駅前ビルが存在していました。旧駅前ビルも地下1階、地上5階建てで、屋上にはビアガーデン、5階にはホール、4階と3階にはホテルと食堂、2階には貸事務所、1階にはバスターミナル、売店、交通関係事務所、地下には映画館、売店、交通局事務所などが入居していました。

FESTAカードとその他

FESTAでは独自のポイントカード「FESTAカード」を発行しており、100円ごとに1ポイント貯まるシステムでした。また、1970年代からサンテレビニュースのスポンサーを務め、1990年頃にはマスコットキャラクター「ムームー」が登場し、館内を歩いたり、お城祭りのパレードに参加したりするなど、地域に密着した活動も行っていました。

初代駅ビルの解体・移転時には、既存テナント、フェスタ協同組合、姫路市などの間で移転時期や手順などをめぐる問題が発生したことも記録されています。また、2015年には、元取締役による約4700万円の横領事件も発生しました。

まとめ

FESTAは、単なる商業施設としてだけでなく、姫路駅の変遷、そして街の発展の歴史と深く関わってきたと言えるでしょう。初代駅ビルから現在のFESTAに至るまで、様々な出来事や変化を経験してきたFESTAは、これからも姫路駅前地区の活性化に貢献していくことが期待されます。

もう一度検索