FH (航空機)

FHファントム（McDonnell FH Phantom）

FHファントムは、アメリカのマクダネル社によって開発され、アメリカ海軍や海兵隊で運用された艦上戦闘機です。「ファントム」という名は、幽霊や妖怪を意味し、正体のわからない存在を象徴しています。この戦闘機は、1945年1月に初飛行した世界初の実用ジェット艦上戦闘機として知られています。

背景

1943年8月、アメリカ海軍は次世代の戦闘機としてジェット戦闘機の装備を検討し始めました。この時、マクダネル社に試作機の発注が行われました。設立から間もないこの新興メーカーは、大手航空メーカーに対する開発の分散を目的として選ばれました。しかし、当時のマクダネル社は技術力が高い企業ではありませんでした。このため、開発はリスクを伴うものでしたが、最終的に新しいアプローチが評価されました。

発注時にはXFD-1という名称でしたが、同名のダグラス社の機体との重複を避けるため、1947年にはFH-1に改名されています。

開発の経緯

FHファントムの設計では、複数のエンジン配置案が検討されました。初めは、小型エンジンを8基または6基使用する案が考えられましたが、1943年にウェスティングハウス社が開発したX19Aターボジェットエンジンが有効であることが証明され、最終的に2基のエンジンを翼の付け根に配置するデザインが採用されました。

機体は葉巻型の胴体と直線翼を持つ、黎明期のジェット戦闘機としては一般的な形状をしており、搭載されるエンジンは2基のウェスティングハウス製ターボジェットエンジンです。武装としては、機首に12.7mm機関銃を4門搭載しています。

初号機は1945年1月に完成しましたが、エンジンの供給の問題で最初は地上試験のみの実施となりました。その後、1月26日に単発での初飛行を成功させます。1945年3月にはFD-1として100機の量産が発注されましたが、戦争の終結により最終的に60機に減少しました。

1946年には、アメリカ海軍の航空母艦「フランクリン・D・ルーズヴェルト」において運用試験を成功させ、これにより本機の実用性が証明されました。

量産と運用

1947年からは量産機の製造が始まり、J30-WE-20エンジンを搭載した量産型は試作機よりも大幅に出力を向上させました。7月には、アメリカ海軍のVF-17A航空隊、および海兵隊のVMF-122とVMF-311に配備が開始され、多くの飛行隊で実運用が行われました。

その後、より進化したF9Fパンサーに取って代わられ、ファントムは徐々に練習機の役割を担うようになりました。そして1949年には実戦部隊からは引き揚げられ、1950年代中旬には全機が退役しました。

FHファントムは、その独自のデザインと技術革新をもって、アメリカ海軍の艦上戦闘機の発展に貢献しました。

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