FJR710 (エンジン)

FJR710ターボファンエンジンの概要

FJR710は、日本で開発された先端技術を駆使した高性能ターボファンエンジンである。このエンジンは、1971年から1975年までの第一期と、1976年から1981年までの第二期に分かれ、各種の性能向上を目指して開発が進められてきた。推力5,000 kgfを持ち、燃費効率を兼ね備えたこのエンジンは、将来的な航空機産業に大きな影響を与えることを目的に据えている。

開発背景

FJR710エンジンの開発は、日本の産業競争力を高めるための重要なプロジェクトとして位置付けられていた。開発には、通商産業省（現在の経済産業省）や科学技術庁のほか、民間企業からも参加者が集まり、「FJRデザインセンタ」が設立された。ここでは、東京大学などの学界の知見を融合し、エンジンの性能向上に向けた研究開発が行われた。

第一期の成果

開発の第一期（1971年-1975年）では、推力4,500 kgfの「FJR710/10」と推力5,000 kgfの「FJR710/20」という2つの試作機を製作した。各モデルは3機ずつ製造され、性能試験、耐久性試験、環境試験を通じて、その信頼性が確かめられた。また、この時期の投入資金は67億円に達し、技術の基盤作りが進められた。

第二期の進展

続く第二期（1976年-1981年）において、開発費は185億円が投入され、名称も「航空機用ジェットエンジン技術研究組合」に変更された。この期間、FJR710/600の製造が初号機として1978年度末に完了し、さらなる耐空性試験が実施された。また、新たに推力7,000 kgfクラスの「FJR710/700」に関する設計も計画されたが、その後の事情により開発が中断されることになった。

飛行試験と成果

1982年にプロジェクトは一旦終了したが、研究は引き続き航空宇宙技術研究所（NAL）に移行された。NALではFJR710/600をさらに改良した「FJR710/600S」が製作され、1984年には自衛隊の試験機C-1FTBに搭載された。その後も100回近い飛行試験を実施し、エンジンの信頼性を確認した。最終的な運転時間は7,100時間に達し、具体的なデータに基づいた成果が示された。

国際的な評価と連携

1977年には、FJR710/20がイギリスの国立ガスタービン研究所で高空性能試験を受け、極めて高い性能を確認。これを受けて、ロールス・ロイス社との共同開発へとつながり、推力10,000 kgクラスの新エンジンの試作が進められた。このプロジェクトは多国籍な協力体制のもとで発展し、最終的に「V2500」としてエアバスA320等に採用され、さらなる市場での成功を収めている。

仕様詳細

• - 形式: 高バイパス比2軸ターボファンエンジン
• - 長さ: 2,352 mm
• - 幅: 1,300 mm
• - 高さ: 1,700 mm
• - 重量: 1,080 kg
• - 最大推力: 4,800 kgf
• - 圧縮機: 1段ファン、1段低圧軸流圧縮機、12段高圧軸流圧縮機
• - 燃焼器: アニュラー型燃焼器
• - タービン: 2段高圧タービン、4段低圧タービン
• - バイパス比: 6
• - 全圧力比: 19
• - タービン入口温度: 1,250 ℃
• - 燃料消費率: 0.39 kg/hr/kgf

このように、FJR710プロジェクトは、日本の航空機産業において重要な役割を果たし、多くの技術的成果をもたらした。その功績は、2007年に「機械遺産」として認定されたことからも明らかである。

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