FM東海

FM東海の歴史と役割

FM東海（エフエムとうかい）は、1958年12月から1970年4月にかけて存在した実験FM局で、学校法人東海大学が設立しました。この局は日本におけるFMラジオ[[放送]]の実用化を目指しており、その経緯には様々な歴史的背景があります。

設立の背景

1950年代の日本、特にテレビの普及が進む中で、文部省（現在の文部科学省）は放送を用いた高等教育の実施に興味を持ち、支援を行っていました。日本の私立大学では、FMを使ったラジオ局やテレビ局が次々に設立される動きがあり、特に熱心に取り組んだのが東海大学でした。1957年6月に、同大学は超短波放送実験局の免許申請を行い、この準備が確実なものとなっていきました。

開局されるまで

1958年4月、東海大学は「超短波放送実験局」の予備免許を取得し、その後12月に正式に放送を開始しました。最初の放送は、周波数86.5MHzで送信され、後に84.5MHzへと変更されました。この周波数の調整は、NHKのアナログ放送との干渉を避けるためのものでした。これによりFM放送の電波は、より安定して高品質の音声を届けることができました。

番組編成と内容

FM東海の特徴として、東海大学の創設者である松前重義の方針に従い、通信制授業の放送が中心となっていました。「望星高校の時間」という番組名で、定期的な授業放送が行われ、他には音楽番組が充実していました。ポピュラー音楽やクラシックが主に放送され、現代音楽を扱う教養番組も存在して、リスナーにさまざまな選択肢を提供しました。

特に1961年には、FM東海用に設計された低価格ラジオが登場し、多くの人々がFM放送にアクセスできるようになりました。また、1963年には、パイロット・トーン方式という方法を用いたステレオ放送も試験的に実施され、当初のFMが持つ音質の良さが一層際立たせることとなりました。

終息とエフエム東京への移行

しかし、国との関係は複雑で、1968年には郵政省が再免許を拒否する事態に陥りました。これは東海大学が放送を通じた教育の実施を続けたことに対し、国からの支援が見込めなかったことが影響しています。複雑な法廷闘争の末、1970年3月には新たに株式会社エフエム東京を設立し、FM東海は同年4月に廃局となりました。

このように、FM東海は日本におけるFM放送において重要な役割を果たした歴史を持っています。多様なプログラムや教育放送の先駆けとして、いまでもその影響は後の放送局に引き継がれています。エフエム東京の開局を経た後も、その精神は現在の日本のFM放送界に脈々と息づいているのです。

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