予備免許

予備免許とは

予備免許とは、日本国内で新たに無線局を開設する際に、無線局免許申請後の書類審査で電波法関係法令に適合していると認められた場合に交付される、仮の無線局免許です。この免許は、電波を発射するための機器の調整や試験を目的としており、本免許の取得前に必要な手続きとなります。

予備免許の概要

日本では、電波法により総務大臣（または地方総合通信局長など）の免許を受けなければ電波を発射することができません。そのため、無線局を開設する際には、まず予備免許を取得する必要があります。通常、免許申請後、約3ヶ月程度で予備免許が交付されますが、簡易な免許手続きに該当する場合は省略されることもあります。

予備免許を取得した後、無線設備の工事を行い、アンテナを設置します。その後、試験[[電波]]を発射し、設備が法令に定められた基準を満たしているかを確認し、落成検査に備えます。予備免許は、あくまで設備の調整を目的とした仮免許であるため、予備免許期間中は、設備の工事と試験[[電波]]の発射のみが許可され、実運用を行うことはできません。

既に開設している無線局が設備を変更する場合は、予備免許ではなく無線局変更許可を受けることになりますが、手続きの流れは予備免許とほぼ同様です。

予備免許を証する書類

予備免許（変更）に際して、総務大臣（総合通信局長）から送付される書類は、開設の場合と変更の場合で異なります。

開設の場合

無線局予備免許通知書が送付されます。

アマチュア局以外の局

様式は、無線局免許状（本免許）とよく似ています。

• - 「免許の番号」「免許の年月日」「免許の有効期間」は空欄で交付されます。
• - 予備免許の番号は上部右端に記載されていますが、本免許交付の際には別の番号に変更されます。
• - 下部の文言は、本免許では電波法第59条の条文が記載されますが、予備免許では「〇年〇月〇日付けの申請については、電波の型式、周波数及び空中線電力欄の記載事項並びに工事落成の期限（〇年〇月〇日）及び運用許容時間（〇〇）を指定し、並びに備考欄に記載の条件を付して予備免許を与える。」と記載されます。

アマチュア局の場合

様式は、アマチュア局に交付される無線局変更許可書とよく似ています。

• - 「無線局変更許可書」が「無線局予備免許通知書」に変わります。
• - 「下記の欄に記載のとおり指定を変更する」が、「下記の欄の記載事項並びに工事落成期限（許可の日から6ヶ月後の日）及び、運用許容時間（常時）を指定して予備免許を与える。」に変わります。

いずれの場合も、識別信号、電波の形式、周波数、空中線電力、運用許容時間は仮指定となります。

変更の場合

「無線局指定変更・変更許可通知書」という書類が送付されます。

アマチュア局の場合

令和5年時点では、空中線電力200Wを超える申請（無線設備の変更または指定を希望）を行った局（ハイパワー局／変更検査対象局）に対して、書類審査で電波法令への適合が確認された場合に、試験および調整を目的として交付される、仮変更許可書の意味合いを持つ書類となります。
申請内容を審査した結果、検査省略となる場合は、「法第18条第1項ただし書の規定により、変更検査を受けることを要しない。」と付記されて無線局免許状とともに交付されます。「下記の欄に記載のとおり指定を変更し、並びに変更を許可する。」との文言ですが、変更検査を受け、無線局免許状が交付されるまでは、試験や調整を目的として指定を変更され、変更が許可されただけとなります。

以前は、空中線電力に関係なく、簡易な免許手続き（検査省略）により変更許可を受けた場合でも、「無線局変更許可（通知）書」や「無線局指定変更通知書」が新たな無線局免許状と同時に交付されていましたが、平成27年から30年の間に総合通信局ごとに順次廃止され、令和5年時点では、全ての総合通信局で簡易な免許手続きによる変更許可を受けた場合の無線局変更許可書交付を廃止しています。

無線局開設（変更）の概略

無線局の開設または変更手続きは、以下の流れで進みます。

1. 申請: 書類を提出します。
2. 書類審査: 申請書類が審査されます。不合格の場合は、申請からやり直しとなります。
3. 予備免許（無線局変更許可書）交付: 申請から通常約3ヶ月後に交付されます。この時点で試験[[電波]]の発射が許可されますが、あくまでも機器調整を目的としたものです。
4. 設備の工事と調整: 予備免許期間中に設備の工事と調整を完了させます。
5. 工事落成届の提出: 工事が完了した旨を届け出ます。
6. 落成（変更）検査: 設備が基準を満たしているか検査を受けます。不合格の場合は、再度機器の点検を行い、工事落成届を提出します。
7. 無線局免許状交付: 検査に合格すると、無線局免許状が交付されます。放送局の場合は、本放送開始の1週間～前日に交付されることが多いです。変更申請の場合は、現在の免許状に変更がない場合は、交付が省略されることがあります。
8. 運用開始: 無線局の運用を開始します。

まとめ

予備免許は、無線局の開設や変更に不可欠な手続きであり、電波の適正な利用を確保するために重要な役割を果たしています。この手続きを理解し、適切に進めることで、スムーズな無線局の運用開始につながります。

参考情報

• - 無線局開局の手続き・検査（総務省）

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