FN ブローニング・ハイパワー

FN ブローニング・ハイパワー 自動拳銃

FN ブローニング・ハイパワー（英: FN Browning Hi-Power）は、ベルギーのFNハースタル社が製造した自動拳銃です。この銃の正式名称は「ピストール・オートマティーク・ブローニング・モデル・ア・グラン・ビザンス」であり、アメリカの銃器設計者ジョン・M・ブローニングが1926年に亡くなる前に設計を開始しました。

設計と開発の歴史

ブローニングが亡くなる前、フランス軍は次期制式拳銃を求めていました。これに応じてFN社が依頼を受け、ブローニングはそのデザインに取り組んでいました。しかし実際に製品化を担当したのは、ブローニングの死後の1934年でした。デュードネ・ヨセフ・サイーブが、その後の改良を施し量産型を完成させました。特筆すべきは、ハイパワーが複列弾倉を初めて採用した実用拳銃であることです。この設計により、火力が高い「ハイパワー」の名にふさわしい性能を持つこととなりました。

特徴と基本仕様

ハイパワーは、ジョン・ブローニングの技術的集大成ともいえる製品であり、設計が非常にシンプルで部品点数が少ないため、高い信頼性を誇っています。カム溝を利用したショートリコイル方式は、以降に製作される多くの自動拳銃に影響を与えました。

この拳銃は、グリップにも工夫が施されており、握りやすさを保ちつつ、細身のデザインが特徴です。材質にはブルーイング仕上げのスチールが使用されており、サムセーフティやマガジンセーフティなどの安全装置も充実しています。

世界的な採用

ハイパワーは、その優れた性能から、50か国以上の軍隊や警察で制式採用されています。また、ドイツ軍が使用した9x19mmパラベラム弾が多くの軍用拳銃で標準となった背景にもこの銃の存在が影響しています。現在では軍用拳銃においても一定の需要を保持されています。特に日本の海上保安庁でも一時期この銃が使用されたことがあります。

派生型

ハイパワーの派生型にはいくつかのモデルがあります。ミリタリーモデルはベルギー軍向けに改良されたもので、専用のサイトやストックが設けられています。さらに、ダブルアクション機構を搭載したハイパワーDAや、様々なカスタマイズが施されたタッシーカスタムハイパワーなどが存在します。

年表

ブローニング・ハイパワーの歴史は長く、1921年から続く数々の開発段階を経て、1934年にようやく量産型が完成しました。その後も第二次世界大戦中や冷戦期を通じて、各国で利用され続けました。最近では、FN社が製造を終了し、2022年には改良モデルが発表されました。

結論

FNブローニング・ハイパワーは、その設計から製造、採用に至るまで、多くの銃器に多大な影響を与えてきた歴史的な自動拳銃です。高い信頼性と実用性から、世界中で愛され続けているモデルの一つと言えるでしょう。今後も、その価値は変わらず、各種組織で利用され続けることでしょう。

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