FNS大感謝祭

FNS大感謝祭：フジテレビ年末特番の知られざる舞台裏

1991年から1993年にかけて、フジテレビ系列で放送された年末特番『FNS大感謝祭』。正式タイトルは『'××総決算! 全部見せますFNS大感謝祭』で、『××』には西暦の下2桁の数字が入ります。明石家さんまと逸見政孝（1993年はさんま単独司会）が司会を務め、視聴者参加型の番組として人気を博しました。

番組の構成と魅力

この番組は、単なる年末特番ではなく、その年のフジテレビの番組を振り返り、反省会を行うという、当時としては斬新な試みでした。フジテレビの様々な番組関係者や局内各セクションの代表者がスタジオに集結し、視聴者から寄せられた質問に答えるコーナーが大きな特徴です。

番組では、人気番組のダイジェスト映像が流れ、ヒットした主題歌も披露されました。視聴者にとって、懐かしい番組の思い出を呼び起こす、またとない機会となりました。さらに、普段は見られない番組制作の裏側や、出演者たちの素顔も垣間見ることができ、視聴者の関心を集めました。

印象的なエピソード

番組には数々の印象的なエピソードが残されています。冒頭では、報道センターから中継で出演した安藤優子が2年連続で「幸田シャーミンです」とボケて場を盛り上げました。また、逸見政孝は「東京ラブストーリー」のダイジェストの後、「鈴木保奈美さんのような若い女性から『セックスしよう』と言われたい中年は自分だけではなく、あのへん（スタジオを指す）の男性全部だと思う」と、普段の言動からは想像もつかない大胆な発言で視聴者を驚かせました。

「もう誰も愛さない」のダイジェスト放送では、殺人シーンが中心だったため、さんまが「何人殺したんですか？ もともとがダイジェストのドラマなのを短くするからこうなるんですよ」と苦言を呈する場面もありました。「あっぱれさんま大先生」の生徒たちがスタジオに登場し、質問攻めにしたり、番組テーマソングを歌ったりするなど、賑やかな場面もありました。

「北の国から」のダイジェスト放送では、劇中での大晦日のシーン、田中邦衛が子供たちに裏番組を見ているだろうが年越しはできる、と語る場面で、実際に裏番組として放送されているスタジオ内から大拍手が起こるという、番組を超えた一体感を生み出す場面もありました。このシーンは、後の「北の国から」スペシャルでも使用されたとのことです。

質疑応答：視聴者の疑問に答える

番組では、視聴者から寄せられた様々な質問に答えるコーナーもありました。

「ゴールデン洋画劇場」で日本映画が時々放送される理由：「東『洋画』だから」。
「101回目のプロポーズ」で浅野温子がよく泣いていたが、脱水症状にならなかったのか：撮り直しが続くと涙が出ないことがあった。1話4回泣くとして、3回は右目から。
「MJ -MUSIC JOURNAL-」のFAXガールが足を組み替える理由：番組内で指示したわけではない。暑いのかもしれない。
番組出演者でわがままな人はいないか：いないこともない。
ドラマのプロデューサーが女性を口説いたことはあるか：ない（と答えた全員、あるはず、とさんまが回答）。
タラちゃんはいつ小学校に行くのか：わからない。
女子アナの衣装は自前か：自前の場合と、局側が用意したものとの半々くらい。
東海林のり子の年齢：（本人が回答）
* ニュース番組でキャスターがしょうもないギャグを言うのはなぜか：生放送で急に時間がちょっと空いた場合、つなぎに思わず言ってしまうことがある。

これらの質疑応答は、番組関係者たちのユーモラスな回答と、視聴者からの素朴な疑問が交錯し、番組をさらに盛り上げる要素となっていました。

スタッフと制作体制

番組のスタッフには、プロデューサーの石田弘氏、チーフディレクターの石井正幸氏などをはじめ、多くのベテランスタッフが名を連ねています。1993年放送分では、構成に玉井貴代志氏、高橋秀樹氏、大田一水氏らが参加しています。また、美術、技術、報道センター、中継など、多数のスタッフが番組制作に携わっており、大規模な制作体制がうかがえます。

特筆すべきは、この番組が従来の明石家さんまをメインとしたフジテレビ番組スタッフとはほぼ別チームで制作された点です。それまでのフジさんま番組とは異なる印象を与えたとされています。

まとめ

『FNS大感謝祭』は、単なる年末特番にとどまらず、その年の番組を振り返る反省会、視聴者参加型のエンターテイメント、そして番組制作の裏側をのぞける貴重な記録という、多様な魅力を兼ね備えた番組でした。視聴者と番組制作側との距離が近く、ユーモラスなやり取りや、意外な一面を垣間見れる番組として、多くの視聴者の記憶に刻まれていることでしょう。

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