FOOL'S MATE

『FOOL'S MATE』の歴史と影響

『FOOL'S MATE』（フールズメイト）は、1977年に日本で創刊された音楽雑誌です。この雑誌は文化と音楽の楽しさを伝え、独特の視点からさまざまなジャンルの音楽を紹介してきました。発行は2012年12月の第376号まで行われ、その後新たな冊子は発行されなくなりました。

創刊の背景と初期の特徴

『FOOL'S MATE』は、初代編集長の北村昌士によって創刊され、その第一号は1977年8月に発行されました。当初、雑誌はA4判のサイズでスタートしましたが、後にB5判となり、さらにA4変型の形態へと変わりました。雑誌名は、もともと「チェス」に由来する用語で、双方が協力して最短でチェックメイトを目指す手法を指すものですが、実際にはピーター・ハミルのファースト・ソロ・アルバム『フールズ・メイト』から名付けられています。この雑誌のスタートは、ハミルが率いたバンド、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターのファンジンに端を発しており、創刊当初はブリティッシュ・プログレッシブ・ロックに特化していました。

時代の変遷とジャンルの広がり

『FOOL'S MATE』は、発行されるたびにその内容を進化させ、クラウトロックやニュー・ウェイヴ、ポストパンクなど、当時注目を集めていたさまざまな音楽を特集しました。また、ウィリアム・バロウズをはじめとするサブカルチャーに関連するコンテンツも多く取り上げ、音楽のみならず多様な文化を発信しました。北村の後を引き継いだ編集長、羽積秀明や瀧見憲司、さらにはメルツバウの秋田昌美なども執筆し、雑誌の多様性に貢献しました。

1990年代の転機

1990年代に突入すると、『FOOL'S MATE』は通巻100号を迎える際に、洋楽専門誌と邦楽専門誌に分かれるという大きな転機を迎えました。洋楽専門の雑誌は『MIX』としてスタートし、その後『remix』に改名されクラブカルチャーを取り扱う雑誌に変貌を遂げます。一方、邦楽専門誌は『FOOL'S MATE』の名前を引き継ぎましたが、内容はヴィジュアル系ロックに特化したものとなり、初期の「プログレ専門誌」とは異なるものになりました。この過程で、読者層や特集内容が大きくシフトしました。

編集体制の変化と終焉

2009年には、『remix』が七尾旅人を表紙にした号で編集部が総入れ替えになったと発表されましたが、その結果として雑誌は発行を停止しました。2012年10月には、季刊移行の発表があり、最後の号となる第376号が同年12月に発行され、以降の新刊は作られなくなりました。このように、『FOOL'S MATE』は、約35年間にわたり日本の音楽シーンに影響を与え続けました。

デジタル移行と影響の継続

とはいえ、『FOOL'S MATE』の精神は、2013年3月に始まったニコニコ生放送「FOOL'S MATE channel」で引き継がれており、さらに現在も「FRESH! by CyberAgent」でも生配信が行われています。このように、雑誌からデジタルコンテンツへと形を変えながらも、音楽ファンとのつながりを持ち続けています。『FOOL'S MATE』は、その時代の音楽を記録し、文化の変化を映し出してきた重要な媒体であり、日本の音楽史の一部として、その影響は今尚色あせることがありません。

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