FOUL

fOUL：日本のロックシーンに刻まれた、ホームランにならない人生

fOULは、1994年6月に結成された日本のスリーピースロックバンドです。バンド名は「ホームランにならない人生」を意味し、当初は『Foul Ball』とする予定でしたが、類似のバンド名が多かったことから『fOUL』に決定しました。

結成までの軌跡：USハードコアの影響とBEYONDS

結成メンバーである谷口健（ボーカル、ギター）、大地大介（ドラム）は、1993年後半から都内で盛り上がりを見せていたUSハードコアシーンの中核を担うバンド、BEYONDSに所属していました。しかし、多忙なライブ活動とメジャーデビューよりも自由な音楽活動を追求する姿勢から、BEYONDSでの活動に限界を感じ、1994年3月に脱退します。谷口の就職も、活動休止の一因となりました。

fOULの誕生と初期活動

1994年6月、谷口と大地は札幌ハードコアシーンで活躍していた平松学（ベース）を迎え、fOULを結成しました。結成当初は、谷口の就職による地方研修や、大地の他のバンド活動（COPASS GRINDERZ、Paume）や平松の活動（We are the world）などの兼務により、活動は限られた時間の中で行われていました。

本格始動と札幌ハードコアシーンとの繋がり

God's Guts、eastern youth、bloodthirsty butchersといった札幌のハードコアバンドとの交流をきっかけに、fOULは精力的に音源リリースやライブ活動を展開します。1994年10月8日、下北沢CLUB Queでの初ライブを経て、翌月には集客効果を実感。12月にレコーディングした音源は、谷口順の自主レーベルLess Than TVから翌年3月にリリースされました。その後、eastern youthの自主レーベル坂本商店に所属することになります。1996年には、bloodthirsty butchersの吉村秀樹とzero(Copass Grinderz)が監修したコンピレーションアルバム『Cinderella V.A.』に参加し、翌年にはbloodthirsty butchersとのスプリットアルバムをリリースするなど、着実に活動の幅を広げていきました。

『砂上の楼閣』とアメリカでのレコーディング

1998年、fOULの活動が本格化すると、谷口は会社を退職し、大地と平松もfOULに専念するようになります。同年3月14日より開始した下北沢Shelterでの自主企画ライブ『砂上の楼閣』は、2005年3月21日までに34回開催されるロングラン企画となりました。

1999年には、プロデューサーにジョー・チカレリを迎えてサンフランシスコでセカンドアルバムをレコーディング。その後も、チカレリのプロデュースのもと、バンクーバー、ロサンゼルスでアルバム制作を行い、ベルウッドレコードから作品を発表しました。

2000年にはNumber Girl、bloodthirsty butchersと共演し、CSでライブが放送されるなど、活動は多岐に渡りました。また、Promise RingやBurning Airlines、Jets To Brazilといったエモバンドの来日公演のオープニングアクトも務めています。

活動休止とその後

2005年3月21日、『砂上の楼閣34』をもってfOULは活動休止を宣言しました。活動休止後、谷口は岡崎善郎と共にBEYONDSを再始動させ、大地は中村修一のバンドtableに参加するなど、各メンバーはそれぞれの道を歩み始めました。2021年には、大石規湖監督によるドキュメンタリー映画『fOUL』が公開され、再び注目を集めました。

再始動

2022年4月12日、fOULは活動再開を発表。同年7月2日には『砂上の楼閣35』を開催し、17年ぶりに活動を再開しました。

ディスコグラフィー

fOULは、多くのシングル、アルバム、参加作品を発表してきました。これらの作品は、彼らの音楽性の多様さと進化を物語っています。

結び

fOULは、USハードコアの影響を受けながらも独自の音楽性を確立し、日本のロックシーンに大きな足跡を残しました。活動休止期間を経ての再始動は、彼らの音楽に対する情熱と、ファンへの想いの強さを示すものと言えるでしょう。彼らの今後の活動にも期待が高まります。

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