FUNAN フナン

映画『FUNAN フナン』の概要

『FUNAN フナン』は、フランスのドゥニ・ドゥ監督による2018年制作の歴史ドラマアニメーションです。本作の脚本はドゥとマガリ・プゾルが手掛け、エリーゼ・トリンも参加しています。物語は、1975年4月のクメール・ルージュの革命期に強制的に連れ去られた子どもを探す母親の姿を描いており、感動的な家族の物語が展開されます。映画で使用される言語は主にフランス語で、主演にはベレニス・ベジョとルイ・ガレルが名を連ねています。タイトルの「FUNAN」は、インドシナ半島にかつて存在した扶南国に由来しています。

製作背景

監督のドゥニ・ドゥはフランスで生まれ、フランス、中国、カンボジアの血を引いています。彼自身の調査と母親の記憶を元にこの作品が生まれ、主人公のチョウはドゥの母親をモデルにしています。ドゥニ・ドゥは、日本のアニメーションに強く影響を受けており、2020年に日本で本作が公開されることは彼の夢の実現だと語っています。また、彼は高畑勲を尊敬しており、この作品を直接見てもらえなかったことが心残りだとも述べています。

あらすじ

物語は、チャウという女性が夫のクン、幼い息子のソヴァンと共にプノンペンでの生活から始まります。1975年、クメール・ルージュが政権を取り、チャウ一家は強制的に都市を離れることになります。移動中、彼らは家族から引き離され、チャウは息子ソヴァンの行方を探し続けます。家族は労働キャンプに送られ、厳しい環境に直面します。

クンは生き延びるため、従う道を選ぶことを決意し、チャウはソヴァンを探すための冒険に出ることを試みますが、何度も挫折を経験します。チャウは他の囚人たちや、村人との出会いによって彼女の信念を揺さぶられながらも、家族を取り戻すための希望を持ち続けます。各キャラクターの悲劇と希望が描かれ、観客は彼らの苦しみを共に味わうこととなります。

物語の中で、ソヴァンは労働キャンプで危機的な状況に置かれ、母親チャウは彼を救い出すためにあらゆる努力を尽くします。クンもまた、家族を守るために身を挺して戦いますが、次々と屈辱的な出来事に見舞われます。一家の運命はまさに絶望的な状況にあり、その中でも希望を持ち続ける姿が描かれます。

公開と評価

『FUNAN』は、2018年にアヌシー国際アニメーション映画祭でプレミアを迎え、その後オーストラリアや北米などでも上映されました。フランスでは2019年3月、ベルギーでは同年4月に公開され、英語圏でも2019年6月に限定公開が行われました。日本では2020年の映画祭で上映され、多くの観客の心を掴みました。

映画は、観客や審査員から高い評価を受け、アヌシー国際アニメーション映画祭では長編部門のグランプリであるクリスタル賞を獲得，や多くの映画祭で賞を受賞しました。これらの賞の受賞は、数々の面で作品のクオリティを証明するものとなっています。

『FUNAN フナン』は、過去の歴史を背景にしながらも、家族の絆や愛情を強く描き出した作品であり、観る者に深い感動を与えるものとなっています。

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