FX-502P

FX-502Pシリーズ概要

FX-502Pシリーズ（FX-501PおよびFX-502P）は、1978年からカシオ計算機によって製造されたプログラム関数電卓です。このシリーズは、後のFX-602Pシリーズに引き継がれました。

計算式の入力方式

この電卓は、当時の先進技術であった書式通りの入力方式、すなわち代数論理（algebraic logic）を採用しています。そのため、ユーザーは自然な形で計算式を入力することができます。

表示機能

FX-502Pシリーズは、メイン表示に10桁の1列の7セグメント液晶を使用しています。さらに、指数表示やプログラム入力、デバッグ時のステップ表示を行うための3桁の7セグメント表示部も備えています。表示部は、紫外線による傷害から保護するため、黄色のフィルターが施されています。

プログラミング機能

FX-502Pシリーズのプログラムモードでは、ユーザーが押したキーの順番を記録するキーストローク記憶方式を採用しています。プログラムを実行する際には、記憶された操作を再実行します。記憶時には、複数のキーの押下が一つのプログラムステップとしてまとめて記録されます。このシリーズでは、FX-501Pが最大128のプログラムステップと11のメモリを持ち、FX-502Pは倍の256のプログラムステップと22のメモリを提供しています。

プログラミング機能には、条件ジャンプ、無条件ジャンプ、サブルーチンの分岐機能があり、P0からP9までのラベルをプログラムやサブルーチンに使用することができます。また、LBL0からLBL9のローカルラベルをジャンプや分岐用として使用できるため、非常に柔軟なプログラミングが可能です。さらに、メモリアクセスやジャンプに対して間接アドレッシングを使用できるため、計算機としての能力は高度です。

全てのプログラムステップは、0から9、C、E、F、Pの組み合わせからなる2桁のコードで表示されます。このため、プログラムコマンドとの対応を示すオーバーレイシートが付属しており、キーボードを使った際に直感的に操作することができます。

サンプルプログラム

一例として、指定した整数の階乗を計算するプログラムがあります。たとえば、5の階乗を計算する場合、「5 P0」と入力すると、結果として120が表示されます。このプログラムは、メモリを9バイト消費します。

インターフェイス

FX-502Pシリーズには、オプションのテープレコーダー用アダプターFA-1を用いることで、プログラムやデータをカンサスシティスタンダード仕様のコンパクトカセットに保存する機能があります。また、この計算機とFA-1を接続することで、計算機のボタンを押すとFA-1から音楽が流れる仕組みも備えています。この機能を利用して音楽をプログラミングし、カセットに記録することができます。実際、FX-502PとFA-1を使って製作された曲には、クラフトワークの『電卓』（1981年）が存在します。

まとめ

FX-502Pシリーズは、1978年の技術を用いた革新的なプログラム関数電卓であり、持つ機能はプログラミングや表示においても高い柔軟性をもっています。この電卓は、計算機の限界を超えるための新しい扉を開いたと言えるでしょう。

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