Feedback (Chageのアルバム)

Chage ミニアルバム『feedback』

Chageが2019年8月7日に発表したミニアルバム、『feedback』（フィード・バック）は、USM JAPANより発売されました。これは、彼のオリジナルアルバムとしては、『Another Love Song』以来、およそ3年ぶりのリリースとなり、ファンからの注目を集めました。

アルバムのコンセプトと構成

本作『feedback』の最も際立った特徴は、そのコンセプトにあります。新しい時代である「令和」を生きながら、日本の大衆音楽史における「昭和」という時代への深い敬意を表している点です。このアルバムは全8曲で構成されており、内訳は書き下ろしの新曲が3曲、そして昭和の音楽シーンを彩った名曲たちのカバーが5曲となっています。

収録楽曲

ミニアルバムに収められた楽曲は以下の通りです。

1. Kitsch Kiss Yeah Yeah
2. たどりついたらいつも雨降り ～ あの時君は若かった
3. Mimosa
4. Love Balance
5. 好きさ 好きさ 好きさ ～ 悲しき願い
6. 二人だけ

特徴的なカバー楽曲

『feedback』の核を成すカバー楽曲には、様々な時代の、そして国内外のアーティストの作品が選ばれています。フォークロックバンド、モップスが1972年に発表した、叙情的な歌詞が印象的な「たどりついたらいつも雨降り」。そして、グループサウンズの全盛期を築いたザ・スパイダースが1968年に放った青春のアンセム「あの時君は若かった」。これら二曲はメドレー形式で収録されており、異なる時代の空気が見事に織り交ぜられています。

海外からの選曲としては、ブリティッシュ・インヴェイジョンを代表するバンド、ゾンビーズが1965年に世に送り出した、美しいハーモニーが特徴的な「好きさ 好きさ 好きさ」。ソウル・ジャズ界の偉大なシンガー、ニーナ・シモンが1964年に発表した、魂を揺さぶる「悲しき願い」。これら二曲もまたメドレーとして収められており、ジャンルや国境を超えた音楽の力を感じさせます。

さらに、日本のロックンロール黎明期を駆け抜けた伝説的なバンド、キャロルが1973年に発表した、ストレートで力強いロックナンバー「二人だけ」も、Chageの独自の解釈によって新たな魅力が引き出されています。これらのカバー曲を通して、Chageは自身の音楽的ルーツや影響源に対するリスペクトを表現しつつ、現代のサウンドとして再構築しています。

アルバムを彩る新曲

カバー曲に加え、『feedback』にはChage自身が生み出した3曲のオリジナル楽曲が収録されています。「Kitsch Kiss Yeah Yeah」、「Mimosa」、「Love Balance」というタイトルのこれらの新曲は、アルバム全体の「昭和リスペクト」というコンセプトの中でどのような役割を果たし、カバー曲群とどのように響き合うのか、リスナーにとって興味深い聴きどころと言えるでしょう。

リリースに伴うコンサートツアー

このミニアルバムの発売を記念し、Chageは全国を巡るコンサートツアーを開催しました。アルバムと同名のツアー『Chage Live Tour 2019 ～feedback～』は、アルバム発売から約三週間後の2019年8月31日からスタートし、本作に収録された楽曲を中心としたセットリストで、アルバムの世界観をライブならではの迫力とともにファンに届けました。

結び

ミニアルバム『feedback』は、Chageの音楽活動において、過去の素晴らしい音楽遺産への敬意と、自身の現代における表現を融合させた重要な作品と言えます。昭和という時代の名曲たちに新たな命を吹き込みつつ、自身の創造性も提示することで、Chageのアーティストとしての懐の深さと柔軟性を示しています。このアルバムは、単なる懐古趣味にとどまらず、時を超えて愛される楽曲の普遍的な力と、それを現代に再構築するアーティストの技量が見事に結実した一枚であり、幅広い音楽ファンに聴いてほしい作品です。

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