あの時君は若かった

あの時君は若かった

「あの時君は若かった」（あのとききみはわかかった）は、日本の人気グループであるザ・スパイダースが、1968年3月5日にシングル盤として世に送り出した楽曲です。グループ・サウンズ（GS）全盛期を彩った一曲として、現在でも多くの音楽ファンに親しまれています。

楽曲の背景と特徴

この楽曲でメインボーカルを務めたのは、メンバーの堺正章と井上順です。二人の息の合ったデュエット形式で披露され、当時の音楽チャートであるオリコンでは最高位6位を獲得。ザ・スパイダースを代表するヒット曲の一つとなりました。

作詞は菅原芙美恵氏が担当しました。音楽ライターの中村俊夫氏の証言によると、本作は当時の若者向け人気芸能雑誌であった『平凡』または『明星』が企画した歌詞の懸賞募集を通じて採用された作品であったと伝えられています。作詞を手掛けた菅原氏は、この楽曲がリリースされた時点でまだ高校生だったと言われています。一方、作曲はグループのリーダーであり、音楽的支柱でもあったかまやつひろし氏が手掛けました。叙情的なメロディーと、青春の思い出を振り返るような歌詞が多くのリスナーの共感を呼びました。

関連展開

「あの時君は若かった」は、ザ・スパイダースが主演した映画作品にも使用されました。1968年5月18日に公開された『ザ・スパイダースの大騒動』では、この楽曲が主題歌としてフィーチャーされ、映画と共に楽曲の人気も高まりました。

シングルのカップリング曲（B面）には、「もう一度もう一度」が収められています。こちらの楽曲は、作詞・作曲ともにかまやつひろし氏が担当しており、井上順がソロで歌唱しています。

発表から長い年月を経た後も、そのオリジナル音源は様々な形で再リリースされています。特に、2005年2月23日にテイチクエンタテインメントから発売されたCDアルバム『ザ・スパイダース・ベスト・トラックス』（品番: TECN-25043）には、この楽曲のオリジナル・カラオケが収録されており、ファンにとっては貴重な音源となっています。

主なカバー

この楽曲は、世代やジャンルを超えて数多くのアーティストにカバーされており、その影響力の大きさを物語っています。代表的なカバーの一部を以下に挙げます。

やまがたすみこ（1976年、アルバム『SUMIKO LIVE』）
かまやつひろし（1981年、シングル「あの時君は若かった／ノー・ノー・ボーイ」） - 作曲者自身によるセルフカバー。このバージョンでは、オリジナルの1番と2番の歌詞の一部が入れ替えられています。
Mi-Ke（1991年、アルバム『想い出のG.S.九十九里浜』） - Mi-Keのカバーには、元ザ・スパイダースのかまやつひろし氏がゲストボーカルとして参加しています。
TAROかまやつ（2005年、アルバム『ピアノマンの詩（うた）』） - かまやつひろし氏の息子であるTAROかまやつ氏によるカバー。
近田春夫&ハルヲフォン（2008年、アルバム『リメンバー・グループ・サウンズ』）
お気楽ギグ（2013年、アルバム『昭和ニッポンII』）
The KanLeKeeZ（2016年、アルバム『G.S. meets The KanLeKeeZ』初回限定盤A）
ザ♂ベルカント5シンガーズ（2019年、アルバム『懐かしの昭和歌謡名曲集1～あの時君は若かった～』）
吉幾三（2019年、アルバム『あの頃の青春を詩う vol.4 グループサウンズ編』）
桑田佳祐（2019年、ライブビデオ『平成三十年度! 第三回ひとり紅白歌合戦』に収録）
* Chage（2019年、アルバム『Feedback』収録） - 「たどりついたらいつも雨ふり」とのメドレー形式で収められています。

「あの時君は若かった」は、作詞が懸賞募集によるものであり、かつ当時の高校生が手掛けたというユニークな背景を持ちながら、ザ・スパイダースの卓越した演奏力とエンターテイナーとしての魅力が見事に融合した楽曲です。GSという一大ムーブメントの中で生まれ、日本のポピュラー音楽史に確かな足跡を残した一曲として、今なお多くの人々に歌い継がれています。

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