First Love (宇多田ヒカルのアルバム)

アルバム『First Love』の概要

『First Love』（ファースト・ラヴ）は、日本のシンガーソングライターである宇多田ヒカルのデビューアルバムで、1999年3月10日に東芝EMIからリリースされました。この作品には、彼女が14歳から15歳になるまでの約1年間にわたって制作・録音した全12曲が収録されています。宇多田が全曲の作詞・作曲を手掛け、アレンジャーには西平彰や村山晋一郎、河野圭といったプロフェッショナルが起用されました。著名なシングル曲「Automatic/time will tell|Automatic_time will tell」や後にシングルカットされたタイトル曲「First Love」が含まれています。

売上と影響

『First Love』は、発売直後から爆発的な売上を記録しました。初動売上は当時の歴代3位に当たる202.7万枚を達成し、累計売上は発売からわずか1か月で500万枚を超えました。最終的には、日本国内での累計売上は768万枚に上り、全世界では約1000万枚に迫る出荷数を誇っています。この作品は、単に商業的な成功を収めただけではなく、日本のポップ・ミュージックにおいても金字塔的存在とされています。多くの音楽評論家からも高く評価され、宇多田の新しい音楽スタイルが日本の音楽シーンに革命をもたらしました。

背景と制作プロセス

宇多田ヒカルは、歌手である母・藤圭子と音楽プロデューサーの父・宇多田照實の子として育ち、幼少期から音楽に浸かっていました。10歳の頃から作曲を始め、14歳の時には日本語の曲作りをスタート。彼女は、日本語での表現に対する葛藤から「NEVER LET GO」を制作しました。この経験が後のアルバム制作に大きく影響しています。

アルバム制作は、当初週末のみ行われ、宇多田はアレンジャーとの協力のもと、音作りを進めました。彼女は、自分がプロデューサーとして全てを管理することに安堵感を覚え、「全部自分でやったほうが気楽」という考えを持っていました。これにより、彼女の独創性が存分に発揮された結果、アルバムは高い完成度となって表れました。

アートワークとビジュアル

アルバムのアートワークは、資生堂宣伝・デザイン部の高橋歩が担当し、カメラマンには久家靖秀が起用されました。作品のジャケット写真は、将来的に日本のポップスがアーカイブされる際に名盤として位置づけられることを意図されています。このビジュアルは、宇多田のキャリアにおいて重要な象徴となり、以降のリリースでも彼女独特のジャケットデザインが継承されています。

楽曲一覧

アルバム『First Love』には以下の楽曲が収録されています：
1. Automatic -Album Edit-
2. Movin' on without you
3. In My Room
4. First Love
5. 甘いワナ 〜Paint It, Black
6. time will tell
7. Never Let Go
8. B&C -Album Version-
9. Another Chance
10. Interlude
11. Give Me A Reason
12. Automatic -Johnny Vicious Remix- (Bonus Track)

評価とレガシー

本作は音楽評論家たちからも高く評価され、日本のポピュラー音楽の概念を変革した作品とされてきました。特に、タワーレコードは「エポック・メイキングな1枚」と位置付け、ミュージック・マガジンでも高い評価を受けています。また、宇多田の歌詞には、比喩や押韻が巧みに取り入れられ、瑞々しさと成熟を兼ね備えた印象を与えました。

『First Love』は、単なる音楽作品にとどまらず、アーティストの成長と変革の象徴として、日本音楽史に名を刻み続けています。

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