Forest (La'cryma Christiの曲)

La'cryma Christiの楽曲「Forest」は、彼らがインディーズ活動を行っていた時期にあたる1997年3月12日にリリースされたシングルです。この作品は、前年に発表されたミニアルバム『Dwellers of a Sandcastle』から選曲された楽曲をシングルカットしたものであり、同時に彼らがインディーズレーベルから世に送り出した最後の楽曲という歴史的な位置づけも持っています。

この楽曲は、テレビ朝日系列で放送されたドラマ「お天気お姉さん2リョーコPuriPuri」のエンディングテーマとして採用されました。テレビドラマの主題歌となったことは、当時のインディーズバンドとしては大きな注目を集める出来事でした。

特にこのシングルに収録された楽曲「Forest」のミュージックビデオは、その制作規模において特筆すべきものです。撮影はイタリアの水の都として知られるヴェネツィアで行われました。インディーズの立場にありながら、海外での大規模なロケーション撮影を敢行したことは、当時の音楽業界において極めて異例であり、その挑戦的な姿勢は大きな話題となりました。このヴェネツィアでのミュージックビデオ撮影に関するエピソードは、後に「La'cryma Christiの伝説」の一つとして、テレビ番組などで語り継がれることとなります。

「Forest」は、発表翌年の1998年に、詞と曲の一部にアレンジを加えた別バージョン「In Forest」としても新たに制作・発表されました。これは、バンドが楽曲に対して継続的に向き合い、異なる表現を追求した軌跡を示すものです。

シングル「Forest」には、表題曲である「Forest」のほか、カップリング曲として「Poison rain」、そして「Forest」のラジオエディット版が収められています。楽曲制作におけるクレジットとしては、全曲の作詞をボーカルのTAKAが担当しました。作曲に関しては、「Forest」および「Forest（Radio Edit）」はギタリストのHIROが手掛け、「Poison rain」はHIROに加えてベーシストのSHUSE、そしてもう一人のギタリストであるKOJIが共同で作曲しました。全楽曲の編曲は、メンバー自身の手によりLa'cryma Christiとして行われています。

この楽曲は、リリース当時のシングル盤はもちろんのこと、その後の様々なアルバムやコレクション作品にも収録され、現在でも聴くことができます。代表的な収録作品としては、先述のミニアルバム『Dwellers of a Sandcastle』や、インディーズ時代の楽曲を集めた『Warm Snow』が挙げられます。さらに、バンドの軌跡を辿るベストアルバム『GREATEST-HITS』、シングル曲とライブからのセレクションを収めた『Sound & Vision THE SINGLES + Selection from Live “DECADE”』、そしてシングル曲と映像作品をまとめた『La'cryma Christi Singles + Clips』といった公式作品に「Forest」や「Poison rain」が収録されており、多くのファンにとって馴染み深い楽曲となっています。これらの作品を通して、バンドのインディーズ期を締めくくり、メジャーへと繋がる重要なターニングポイントとなった本楽曲の魅力を感じ取ることができます。

「Forest」は、その音楽性だけでなく、異例のPV撮影やドラマタイアップといった背景を持つ、La'cryma Christiの初期キャリアにおいて欠かせない一曲と言えるでしょう。それは、彼らの音楽が広い層に届き始めた時期の象徴であり、後の活動へと繋がる重要な足がかりとなった楽曲なのです。

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