G・ウィロー・ウィルソン

グウェンドリン・ウィロー・ウィルソン（Gwendolyn Willow Wilson、1982年8月31日 - ）は、アメリカ合衆国の多才な作家であり、小説家、グラフィックノベルライター、エッセイスト、ジャーナリストとして知られています。彼女の作品は、多様な文化、宗教、そして社会的なテーマを探求することで評価されています。

経歴

ウィルソンは1982年、ニュージャージー州モリス郡で生まれました。無神論者の両親のもとで育ち、10歳の頃に『X-メン』に出会ったことがきっかけでコミックに没頭するようになりました。ボストン大学では歴史学を専攻し、在学中に仏教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教など、様々な宗教の研究を始めました。これらの宗教研究は、彼女の後の作品に大きな影響を与えています。

2003年にイスラム教に改宗後、ウィルソンはエジプトのカイロへ渡り、英語教師として働きながらジャーナリストとしての活動を開始しました。カイロでの経験は、2010年に出版された回想録『The Butterfly Mosque』にまとめられています。また、カイロで出会ったエジプト人の物理学教師と婚約し、後に共にアメリカへ帰国しました。

2007年には、グラフィックノベルライターとしてのデビュー作となる『Cairo』を刊行しました。2008年からは『Air』シリーズの刊行を開始し、着実にキャリアを積み重ねていきます。

2012年には、小説家デビュー作となる長編小説『無限の書』を発表しました。この作品は、現代のエジプトを舞台に、イスラムの神秘主義とテクノロジーが融合した世界を描き出し、翌年には世界幻想文学大賞を受賞しました。

2014年からは、マーベルコミックの『Ms. マーベル』シリーズのグラフィックノベルライターを務めています。このシリーズは、マーベルコミック史上初めて、ムスリムの女子高校生を主人公としており、多様性とアイデンティティの問題を扱った作品として高い評価を受けています。

主な作品

小説
『無限の書』(Alif the Unseen, 2012): 現代のエジプトを舞台にしたファンタジー小説。テクノロジーとイスラムの神秘主義が融合した世界で、主人公のアリフが禁断の書物を巡る冒険を繰り広げます。（鍛治靖子訳、創元海外SF叢書、2017年）

グラフィックノベル
Cairo (2007): カイロを舞台にしたグラフィックノベル。
Air (2008-2010): SF要素を取り入れたグラフィックノベルシリーズ。
『Ms. マーベル』(Ms. Marvel, 2014-): ムスリムの女子高校生カマラ・カーンが主人公のマーベルコミック。
X-Men vol. 4 #23–26 (2015)

主な受賞歴

『無限の書』
2012年 中東文学賞YA部門 受賞（Middle East Book Award - Youth Literature）
2013年 太平洋岸北西部書店協会賞 受賞（Pacific Northwest Booksellers Association Award）
2013年 世界幻想文学大賞 長編部門 受賞
『Ms. マーベル』
2015年 ヒューゴー賞グラフィックストーリー部門 受賞
2016年 ドウェイン・マクダフィー賞 受賞（Dwayne McDuffie Award for Diversity）

ウィルソンの作品は、多様な文化や宗教に対する深い理解と、現代社会におけるアイデンティティの問題に対する鋭い洞察力によって特徴づけられています。彼女の作品は、エンターテイメント性だけでなく、読者に多様な視点を提供し、社会的な問題について考えるきっかけを与えてくれます。

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