G-21 (航空機)

グラマン G-21 グース（Grumman G-21 Goose）

グラマン G-21 グースは、アメリカのグラマン社が1930年代に設計した水陸両用飛行艇です。この機体は、主にビジネス用途として、ニューヨークのロングアイランドからマンハッタンへの輸送を目的に開発されました。G-21という名称は、飛行艇のデザインにおいて特異な存在感を持ち、富豪たちの「空飛ぶヨット」としても人気を博しました。

設計と歴史

1936年、ロングアイランドの富豪たちがグラマン社に軽量な水陸両用飛行機の開発を依頼しました。こうして誕生したのがG-21であり、グラマン社にとっては初の単葉機であり、双発機でもあります。機体はほぼ全金属製で構成され、プラット・アンド・ホイットニー社製のR-985エンジンを2基搭載しています。1937年5月29日に初飛行を果たし、その後民間航空市場に投入されました。

第二次世界大戦時には、アメリカ軍をはじめとする連合国に多く供給され、兵員輸送や偵察、物資輸送など多岐に渡る用途で活躍しました。この戦争における活躍は、G-21の信頼性を証明する結果となりました。戦後もその運用は続き、商業航空や個人所有機として大場面でも使用されています。

改良と発展

G-21は多くの改良型が存在し、特にオレゴン州のマッキノン・エンタープライゼス社が手がけた改良が有名です。初代のG-21Cでは、R-985エンジンが4発のライコミング GSO-480-B2D6エンジンに変更され、より高いパフォーマンスを発揮しました。さらなる改良型のG-21Dでは、機首の拡張と内部の収容能力の増加が実現され、G-21Dの改造機の一部は「ターボプロップ・グース」と呼ばれるようになりました。

また、1960年代初頭に発表されたG-21Eはターボプロップエンジンを搭載し、大型化した燃料タンクによって航続距離の延長が図られました。最終モデルであるG-21Gは、高耐久性を備えた構造強化が施され、より魅力的なデザインが追加されています。

運用歴

最初は富裕層向けの空の交通手段として使われていたG-21は、1938年にはアメリカ陸軍航空隊にサービス入りし、そこから海軍や沿岸警備隊にまで広がりました。イギリス空軍やカナダ空軍でもその運用が行われ、特に緊急救助や偵察などの任務もこなしました。

日本でもG-21は使用されており、1939年には1機が日本海軍に導入されました。太平洋戦争中に鹵獲された機体もあり、その後の性能調査に役立てられました。戦後には、海上自衛隊が米海軍から送られたJRF-5型機を使用し、対潜哨戒や救難任務に従事しましたが、評価は芳しくなく退役することとなりました。

現在の状況

現在、G-21シリーズの生産は終了していますが、世界中に残存する個体は各地で運用され続けています。合計で345機が生産され、現在でも約30機が現役であります。これらの多くは個人の所有となっており、改良が施されたモデルも存在します。

航空機の形状やデザインの独自性、長い運用歴、そして多様な用途からG-21グースは航空史において特別な地位を確立しています。今後もその存在感は続くことでしょう。

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