GAMERA1999

『GAMERA1999』について

『GAMERA1999』は1999年に庵野秀明が総監督を務めて制作されたドキュメンタリーであり、同年に公開された映画『ガメラ3 邪神覚醒』の制作過程を映したメイキングビデオです。この作品は、一般的なメイキング映像とは一線を画し、制作の裏側に存在する様々な葛藤や問題をリアルに伝えています。

概要

1999年2月20日にメディアファクトリーからリリースされた『GAMERA1999』は、映画公開前のプロモーションを考慮した典型的なメイキングビデオとは異なり、監督や特技監督の不和、プロデューサーの苦悩といった内部のトラブルを赤裸々に描いています。全編が民生用のDVカメラで撮影されているため、画質が粗く、カメラアングルも変則的で、ナレーションやテロップなどがほとんど存在しないため、視覚的にも特異な体験となっています。

この作品は、約2時間という長さで進行し、時系列的に制作の流れを追いますが、その編集手法はコラージュ的で、一般的なメイキングビデオよりも見やすさに欠ける部分もあります。このような特異さが、視聴者に製作現場のリアリティをより強く印象付ける結果となっています。

内容の詳細

映像の中では、映画の撮影に関する純粋なメイキングの部分だけでなく、監督と特技監督の意見の相違、プロデューサーと製作スタッフの衝突、さらには予算上の問題から生まれる緊張感など、通常は表に出ない制作現場の内情が詳細に描写されています。特に、金子修介監督は自らが受けていたプレッシャーや、プロデューサーである南里幸との関係について辛辣な意見を述べています。

また、特撮助監督の神谷誠がカメラに向かって作品における問題点を語る場面もありましたが、映像編集のミスによりその内容は十分に活かされていないと言われています。結果的に、神谷の「もうしゃべんねーぞ」という叫びだけが映像に残される形となりました。このような制約の中、メイキングとしての枠を超えた尖った内容が意図的に制作されたことが伺えます。

制作背景とトラブル

制作段階において、摩砂雪監督はメイキング映像を狙って撮影するのではなく、ドキュメンタリーとしての視点からスキャンダラスな要素を強調していました。しかし、映画公開を控えていることから、販売用の映像には否定的な発言が大幅に削除されています。また、公開の際は関係者への配慮もあったとされています。

こうした背景の中で、金子監督や神谷監督が共に作品を作ることとなった『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』の制作時には、本ビデオでのトラブルを意識していたと言われています。このように、『GAMERA1999』はただのメイキング映像ではなく、映画製作のリアルな側面を伝える重要な作品として位置付けられています。

出演者

作品には、南里幸、樋口真嗣、金子修介、神谷誠をはじめ、伊藤和典、林由美香、大橋明、福沢博文、原口智生など多くの関係者が登場します。彼らのインタビューや制作現場での様子を通じて、映画『ガメラ3 邪神覚醒』の制作を振り返る貴重なドキュメントが完成しています。

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