GARDEN (原田知世のアルバム)

原田知世『GARDEN』：新たな音楽への扉を開いたアルバム

『GARDEN』（ガーデン）は、1992年8月21日にリリースされた原田知世の10枚目のオリジナル・アルバムです。デビュー10周年という節目に制作された本作は、ムーンライダーズの鈴木慶一をプロデューサーに迎えたことで、原田の音楽性に新たな風が吹き込まれました。

制作の背景

鈴木慶一は、1994年の『カコ』、1995年の『Egg Shell』と続くプロデュース3部作を手掛けています。その最初の作品がこの『GARDEN』でした。制作にあたり、鈴木は原田に「好きな言葉と嫌いな言葉」を尋ね、「この音は好き？この響きはどう？」といった質問を重ねることで、原田の音楽的な嗜好を探りました。原田は、鈴木との共同作業を通して「音楽はこうやって出来上がっていくんだ」と学び、本作を自身の音楽活動における大きなターニングポイントと位置づけています。

多忙を極めていた鈴木は、ムーンライダーズの作詞と並行して本作のプロデュースを行っていたため、楽曲制作に充てられる時間は限られていました。そこで、鈴木は自身の友人である音楽家たちにも楽曲制作を依頼し、多彩な才能がアルバムに集結しました。作曲は鈴木自身が4曲、原田自身が2曲を手掛けたほか、鈴木さえ子や中西俊博らが楽曲を提供しています。

楽曲について

アルバムには、14枚目のシングル「Silvy」のカップリング曲「夢迷賦」が新たなアレンジで収録されています。さらに、ボーナス・トラックとして7枚目のシングル「早春物語」のセルフカバーが収録されており、ファンには嬉しいサプライズとなりました。

批評

音楽情報サイトCDジャーナルのレビューでは、「デビュー10年目を迎えた彼女の庭に素敵な細工を施したのは天才庭師鈴木慶一氏。誰でも気軽に訪れることの出来るその庭の居心地の良さは格別で、素敵な昼下がりのひと時を約束してくれる。」と評され、その音楽的な完成度の高さが評価されています。

『GARDEN』は、原田知世の新たな魅力を引き出しただけでなく、その後の音楽活動に大きな影響を与えた重要な作品と言えるでしょう。鈴木慶一との出会い、そして彼との共同作業を通して、原田は自身の音楽的な可能性を大きく広げました。本作は、彼女のキャリアの中でも特別な輝きを放つ、必聴の一枚です。

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