GNSSリフレクトメトリ

GNSSリフレクトメトリ（GNSS反射率測定）とは

GNSSリフレクトメトリ（GNSS-R）は、地球観測に衛星測位システム（GNSS）の信号反射を利用する技術です。具体的には、GPSなどの衛星から発信されたナビゲーション信号が地球表面で反射したものを測定します。このアイデアは1990年代半ばにNASAラングレー研究所で提唱され、GPS反射率測定法としても知られています。

GNSS-Rの原理

GNSS-Rは、GNSS衛星からの信号を観測するパッシブセンシング技術です。GNSS受信機は、衛星からの信号遅延（疑似距離測定）と、衛星と観測者間の距離変化率（ドップラー測定）を計測します。さらに、反射したGNSS信号からは、時間遅延と周波数変化の2つのパラメータが得られ、これらを基に遅延ドップラーマップ（DDM）が作成されます。DDM内の信号形状と強度分布は、反射面の誘電特性と粗さによって決定され、この情報から様々な地球物理学的データを取得できます。

GNSS-Rの応用分野

GNSS-Rは、以下のような様々な分野で応用されています。

高度計: 地表面の高度を正確に測定できます。
海洋学: 海面の波高や風速を観測できます。
雪氷圏モニタリング: 雪や氷の分布、変化を監視できます。
土壌水分モニタリング: 土壌の水分量を推定できます。

バイスタティックレーダーとしてのGNSS-R

GNSS-Rは、送信機（GNSS衛星）と受信機が離れた位置にあるバイスタティックレーダーとして機能します。また、1つの受信機で複数のGNSS衛星を同時に追跡できるため、マルチスタティックレーダーとしての特性も持ち合わせています。受信機は、地上局、船舶、航空機、衛星など、様々なプラットフォームに搭載できます。

衛星によるGNSS-Rの事例

災害監視衛星（Disaster Monitoring Constellation）の一部であるUK-DMC衛星は、二次反射測定ペイロードを搭載していました。この衛星は、地球低軌道から海面で反射したGPS信号を受信・測定し、波高や風速を測定できることが実証されています。

まとめ

GNSSリフレクトメトリは、衛星からの信号反射を利用した地球観測技術であり、様々な分野でその応用が期待されています。今後も技術開発が進み、より高精度で多角的な地球観測に貢献することが期待されます。

関連情報

Cyclone Global Navigation Satellite System

外部リンク

Reflecting on the future, The Engineer Online, 28 November 2006.
* GNSS Applications and Methods, Artech House, September 2009.

もう一度検索