GNSS連続観測システム

GEONET（GNSS連続観測システム）について

GEONET（GNSS earth observation network system）は、国土地理院が全国に展開する高密度なGNSS連続観測システムです。約1,300箇所に設置された電子基準点と、茨城県つくば市にあるGEONET中央局で構成され、高精度な測量網の構築と広範囲な地殻変動の監視を目的としています。

観測の目的と役割

GEONETは、電子基準点で取得された観測データをもとに、地震や火山活動に伴う地殻変動を捉え、そのメカニズムを解明します。また、日本周辺のプレート運動を日々観測し、ゆっくり地震など、他の観測手段では捉えにくい現象も検出できます。これらの観測を通じて、地殻変動観測における基盤的な観測網として重要な役割を担っています。

GNSS測量における電子基準点の活用

従来のGNSS測量では、既知点と新点にGNSS機器を設置し、相対測位によって新点の座標を決定していました。しかし、電子基準点を既知点として利用することで、利用者は自分で既知点にGNSS機器を設置する手間を省くことができます。国土地理院が提供する電子基準点データを用いることで、新点でのGNSS観測のみで新点の座標を得ることができ、測量作業の効率化に貢献します。

電子基準点は、GNSSを用いた測量の社会基盤として、様々な分野で活用されています。例えば、各種基準点の設置や、土木・農業機械による自動施工などが挙げられます。

測量成果と地殻変動

電子基準点や三角点などの測量成果は、原則として座標値が固定されています。しかし、日本のように地殻変動が活発な地域では、固定された座標値と実際の座標値との間にずれが生じます。このずれが大きくなると測量に支障が生じるため、測量成果の改定が必要となります。GEONETによる地殻変動観測は、測量成果改定の判断材料として、適切な測地基準点体系の維持管理に役立っています。

GEONETの観測とデータ提供

GEONETでは、以下の活動を行っています。

GNSSの24時間連続観測: 全国に設置された電子基準点で、GNSS衛星からの信号を24時間連続で観測します。
観測データの収集: 電子基準点で観測されたデータは、常時接続回線を通じてリアルタイムでGEONET中央局に収集されます。国土地理院には、GEONET観測開始時からのデータが蓄積されています。
観測データの解析: 収集されたデータを用いて、定常解析（迅速解析、速報解析、最終解析）や、緊急解析、リアルタイム解析などが行われます。また、解析の高度化に向けた調査・研究も進められています。
データの提供: 電子基準点の観測データや解析結果（日々の座標値など）が、インターネットを通じて提供されています。また、GEONETの解析結果から得られた地殻変動の情報も公開されています。電子基準点のリアルタイムデータは、配信業者を通じて利用者に提供され、高精度な測位に利用されています。

まとめ

GEONETは、高密度なGNSS連続観測システムとして、地殻変動の監視や測量業務の効率化に大きく貢献しています。そのデータは、地震や火山活動の研究、プレート運動の理解、測地基準の維持管理など、多岐にわたる分野で活用されています。

関連情報

国家座標
電子基準点データ提供サービス - 国土地理院

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