GO TO THE FUTURE

サカナクション 1stアルバム『GO TO THE FUTURE』

『GO TO THE FUTURE』は、日本のロックバンド、サカナクションが2007年にリリースした記念すべきデビューアルバムです。全楽曲の作詞・作曲をフロントマンの山口一郎が手掛け、バンドの地元である北海道で制作されました。初期の楽曲に加え、山口とギターの岩寺基晴が以前に在籍していたバンド「ダッチマン」時代の楽曲も収録されており、彼らの音楽的なルーツを垣間見ることができます。

2009年にはデジタルダウンロード販売が開始され、iTunesなどの音楽配信サイトを通じて世界各国でリリース。2015年にはリマスタリングを施したLP盤とCDで再発され、再び注目を集めました。

制作背景

サカナクションは2005年春、札幌市で結成されました。山口と岩寺は前身バンド「ダッチマン」のメンバーであり、解散後、山口はソロ活動を経て、再びバンド活動への意欲を高めます。岩寺を誘い、ドラムメンバーを加えてサカナクションを結成。結成直後には、地元で開催されるロックフェスティバル「RISING SUN ROCK FESTIVAL」の公募枠に応募し、見事選出。これを機にメジャーデビューが決定しました。その後、ベースの草刈愛美、キーボードの岡崎英美が正式メンバーとして加入し、現在のバンド体制が確立しました。

初期のサカナクションは、「三日月サンセット」と「白波トップウォーター」のデモ音源を地元のラジオ局に送付。これらの楽曲はリスナーから好評を博し、ラジオ番組のチャートで上位にランクイン。FM NORTH WAVEのチャートにも登場するなど、北海道での注目度を高めていきました。

アルバムの制作は、ジャケットのアートワークやミュージックビデオを含め、楽曲や歌詞に至るまですべて北海道圏内で行われました。レコーディングは、札幌市内のスタジオで行われ、山口は楽曲ごとにイメージを膨らませ、メンバーに演奏を指示。メロディーを作成する際には、リスナーがどのように楽曲を受け止めるかを考慮し、内省的なアプローチで制作を進めました。また、アルバム収録曲のテンポはすべてBPM126で統一されています。これは、ドラマーの江島啓一が当時クラブミュージックに慣れていなかったため、慣れさせるという意味合いと、歌唱・作曲時のテンポとして最適であったためです。

楽曲について

「あめふら」は、現在の5人体制になってから初めて制作された楽曲で、アメリカンミュージックとフレンチミュージックの要素を融合させた遊び心溢れる一曲です。また、「フクロウ」は、ギターコードを作曲中に思いついたアドリブの歌詞が採用されています。タイトルチューンである「GO TO THE FUTURE」は、当時の山口の心情を反映した楽曲で、元々はアコースティックソングでしたが、3拍子にアレンジすることでバンドサウンドが確立しました。アコースティック版は後に再録され、カップリングアルバムに収録されています。

リリースとプロモーション

アルバムは、「三日月サンセット」をプロモーションの中心に据え、テレビ番組のオープニングやエンディングテーマとして使用されました。また、音楽雑誌への掲載や、アルバムのスペシャルサイト開設など、多角的なプロモーションを展開。2007年5月には、初のワンマンライブを札幌、東京、名古屋、大阪で開催しました。

2015年には、リマスタリングを施したLP盤とCDが再発。当初は別のアルバムリリースが予定されていましたが、メンバーの産休により、復刻版のリリースへと変更されました。

評価

『GO TO THE FUTURE』は、音楽評論家から肯定的な評価を受けています。タワーレコードのレビュアーは、テクノやエレクトロニカを取り入れたバンドサウンドと、洗練されたグルーヴを評価。CDジャーナルのレビュアーも、サカナクションの持つポピュラー音楽とロックのセンスを高く評価しています。

チャート成績

オリコンランキングでは初登場105位を記録。CDジャーナルの調査によると、売り上げの多くは札幌で記録されました。タワーレコード渋谷店では、10日間で100枚を売り上げるなど、好調な売れ行きを見せましたが、他の地域では売り上げを伸ばすことができませんでした。

まとめ

『GO TO THE FUTURE』は、サカナクションの原点であり、彼らの音楽的な探求の始まりを告げる作品です。北海道で育まれた感性と、実験精神が融合したサウンドは、唯一無二の世界観を確立し、その後の活躍へと繋がっていきました。

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