GOLDEN☆BEST 天地真理 コンプリート・シングル・コレクション・アンド・モア

GOLDEN☆BEST 天地真理 コンプリート・シングル・コレクション・アンド・モア

『GOLDEN☆BEST 天地真理 コンプリート・シングル・コレクション・アンド・モア』は、日本の歌手、天地真理の集大成ともいえるベストアルバムです。ソニー・ミュージックハウスより2002年11月20日に発売された本作は、各レコード会社からリリースされている「ゴールデン☆ベスト」シリーズの一つとして登場しました。天地真理にとって、これが初めてのCD2枚組となる作品であり、ファン待望の企画盤として注目を集めました。

本作は、当時の帯コピーにも「ソニーの白雪姫・真理ちゃんの初のコンプリート・シングル・コレクション」と謳われたように、その名の通り、初期から後期にわたる彼女の主要な楽曲を網羅しています。特に、未発表音源2曲に加え、当時まだCD化されていなかった多数の楽曲が初めて収録された点も大きな特徴です。全46曲が収められたこのアルバムは、天地真理の音楽的な軌跡を辿る上で貴重な資料ともなっています。

アルバムは2枚組で構成されており、その内容はタイトルの「コンプリート・シングル・コレクション・アンド・モア」が示す通りに明確に分けられています。

ディスク1には、天地真理が1970年代から1980年代にかけて発表した全てのシングルレコードA面曲が時系列に沿って収録されています。彼女の代表的なヒット曲である「水色の恋」「ひとりじゃないの」「虹をわたって」「恋する夏の日」といった初期のブレイクを飾った楽曲から、後期のシングルまでを網羅。これに加えて、公式なシングルA面としてはリリースされなかった楽曲「夏を忘れた海」の未発表バージョンが特別に収録されています。まさに「コンプリート・シングル・コレクション」に相応しい内容と言えるでしょう。

ディスク2は、タイトル後半の「アンド・モア」部分を構成する選曲となっています。こちらには、シングルレコードのB面曲や、スタジオ・アルバム、ライブ・アルバムからの楽曲が多数収められました。特に、当時のCD化があまり進んでいなかった1970年代中期にリリースされた音源を中心にセレクトされており、ファンにとっては待望のCD化が多く含まれていました。オリジナル楽曲だけでなく、「ひまわりの小径」や「あなた」といった他のアーティストのカバー曲も収録されており、彼女の多様な音楽性を楽しむことができます。また、このディスクには未発表曲「ひとかかえの愛」が収録されていることも特筆されます。

音源面では、ソニー独自の高音質化技術であるSBM（Super Bit Mapping）を用いたデジタル・リマスタリングが施されており、当時のアナログ音源がクリアで高音質で蘇っています。さらに、発売から約7年後の2009年8月19日には、通常のCDプレーヤーでもより高音質での再生が可能とされるBlu-spec CD盤が限定生産でリリースされました。このBlu-spec CD盤には、その技術を解説するフライヤーが同梱されており、音質へのこだわりが感じられます。

パッケージに同梱された歌詞ブックレットも充実しており、ベスト盤を除くLPアルバムとシングルレコードの簡潔なディスコグラフィや、天地真理本人のプロフィールが掲載されています。また、裏表紙には収録されたシングル盤のジャケット写真一覧が並べられており、視覚的にも楽しめる内容となっています。Blu-spec CD盤のブックレットでは、後に発売されたCD-BOX『天地真理 プレミアム・ボックス』の情報が追記されています。

なお、2006年10月1日に発売された天地真理のデビュー35周年記念CD-BOX『天地真理 プレミアム・ボックス』に含まれるシングルA面曲を集めたディスクは、本作のディスク1とほぼ同じ内容となっており、関連性の高い作品と言えます。また、2013年4月17日には、選曲内容を一部変更し、冠番組のテーマ曲などをボーナス・トラックとして追加した同名の廉価盤『GOLDEN☆BEST 天地真理』が発売されており、本作とは異なるラインナップとなっています。

『GOLDEN☆BEST 天地真理 コンプリート・シングル・コレクション・アンド・モア』は、「ソニーの白雪姫」と呼ばれ一世を風靡した天地真理の代表的な楽曲を網羅し、未発表音源や初CD化音源を多数収録した、彼女のファンにとってまさに決定版とも言えるベストアルバムです。その網羅性と高音質化により、今なお多くの音楽ファンに愛されています。

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