GPX (雑誌)

GPX (F1 Grand Prix Xpress) について

GPX（F1 Grand Prix Xpress）は、1987年に山海堂から発行されたF1専門の雑誌で、その名は広く知られる存在となりました。本誌は、各F1グランプリの終了後すぐに発行される速報誌として、多くのファンに愛されました。雑誌の歴史は、当初は『オートテクニック』の増刊としてスタートし、1988年には独立した雑誌となりました。

発行の内容とスタイル

GPXは主に、グランプリの予選や決勝レースの詳細な報告を提供していました。特に、現地取材による生の声を大切にし、それに加えて最新のニュース、特集記事、読者の投稿コーナーなども充実していました。なかでも、レースレポートには諸岡理のユーモラスなイラストが必ず添えられており、読者にとって親しみやすい内容となっていたのです。

また、雑誌の特長として、B4判の判型とザラついた紙質が挙げられます。表紙にはレーシングドライバーの顔写真が掲載されていて、まるでグラビア雑誌のような印象を与えていました。さらに、初期の頃はフジテレビのF1中継から映像を借りて、写真を掲載することもあったため、視覚的な魅力も兼ね備えていました。

F1ブームと他誌との競争

1980年代後半から1990年代にかけて、日本におけるF1ブームが盛り上がった時期、GPXはその波に乗る形で人気を博しました。特に、情報の鮮度や迫力あるグラビアといった点において、他のモータースポーツ雑誌である『オートスポーツ』や『Racing On』と比べても優位性がありました。また、業界の競争も激化し、次々と「F1速報」と名乗る雑誌が誕生しました。中には、GPXと類似した誌名や判型を持つ『GPS（グランプリスポーツ）』も登場し、市場が活気づく状況が見られました。

売上の減少と廃刊

しかし、1990年代後半にバブルが崩壊し、それに伴ってF1人気も徐々に低下しました。これが影響し、GPXの売上も減少の一途をたどります。最終的には2001年のシーズンをもって、15年の歴史に幕を閉じ、廃刊となりました。

後継誌と最終的な閉鎖

廃刊後、山海堂は2003年にGPXに似たコンセプトの『Grand Prix Speed F』を新たに創刊しました。その後、2004年からはWeb上でのPDF形式による配信に切り替えられました。そして、2005年に誌名を『週刊エフ』と改め、継続的な配信が試みられました。しかし、2007年12月に山海堂が倒産したことにより、『週刊エフ』の配信も終了しました。

初代編集長を務めた山口正巳氏は、現在ではF1情報サイト「STINGER」の運営に関与しています。F1というスポーツの魅力を伝えることに情熱を注ぎ続けており、その影響は続いています。

GPXは、いわば日本におけるF1速報誌の基礎を築いた重要な存在であり、その記憶は多くのファンの心に残っています。

もう一度検索