GREEN (B'zのアルバム)

B'zの12作目オリジナルアルバム『GREEN』：未熟さ、そして無限の可能性

2002年7月3日、B'zはVERMILLION RECORDSより12作目のオリジナルアルバム『GREEN』をリリースしました。前作『ELEVEN』から1年7ヶ月ぶりとなる本作は、オリコンアルバムチャートで通算800作目の1位を獲得。B'zのオリジナルアルバムとしては初めてデジパック仕様が採用されるなど、話題性も抜群でした。

アルバムタイトル『GREEN』には、「未熟さ」「青臭さ」といった意味が込められています。メンバー自身の「まだまだ成長途上である」という謙虚な姿勢と、同時に若々しいエネルギーが感じられる、彼ららしいタイトルと言えるでしょう。アルバムジャケットは、アメリカのラスベガスでレッドロックを背景に撮影され、力強いビジュアルが印象的です。一部のミュージックビデオもラスベガスで撮影されており、アルバムの世界観をさらに深めています。

『GREEN』は、第17回日本ゴールドディスク大賞でロック&ポップ・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、音楽性も高く評価されました。また、本作とシングル『野性のENERGY』、そして次のアルバム『BIG MACHINE』には、専用の「B'z」ロゴマークが使用されているという点も特徴の一つです。

本作のレコーディングは前作『ELEVEN』のレコーディングに引き続いて行われましたが、『B'z LIVE-GYM 2001 "ELEVEN"』やソロ活動などを挟み、本格的なレコーディングは2002年1月より再開されました。この期間にレコーディングされた楽曲は約20曲にも及び、その中からバランスを考慮して厳選された楽曲が収録されています。

音楽性としては、5thアルバム『IN THE LIFE』以来となる打ち込みを多用したポップス路線が特徴的です。収録曲の半数でドラムが打ち込みとなっているなど、デジタルサウンドを効果的に取り入れつつ、B'zらしいメロディーとアレンジが聴きどころです。ただし、前作『ELEVEN』以降に発売されたシングル「GOLD」は本作には収録されていません。また、かつてはオリジナルアルバムの中でも未演奏曲が多い作品としても知られていましたが、近年はライブで演奏される楽曲も増えてきています。

『GREEN』には、様々なタイアップ楽曲も収録されています。コナミのゲームソフト『ときめきメモリアル Girl's Side』のオープニングテーマ「SIGNAL」、エンディングテーマ「美しき世界」、そして映画『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』の主題歌「Everlasting」など、幅広い世代に親しまれる作品とコラボレーションしています。

収録曲の一つである表題曲「STAY GREEN 〜未熟な旅はとまらない〜」は、アルバムの中でも数少ないバンドサウンドの楽曲です。「初心忘るべからず」というメッセージが込められており、静かなコーラスから力強いロックサウンドへと変化する展開が印象的です。この曲はアルバムツアー後、長らくライブで演奏されていませんでしたが、2013年の『B'z LIVE-GYM Pleasure 2013 -ENDLESS SUMMER-』で約11年ぶりに演奏され、ファンを沸かせました。

他にも、「Warp」は歌詞が先に作られた珍しい楽曲であり、「SURFIN' 3000GTR」は、当初「SURFIN' 2000」というタイトルで前作『ELEVEN』の頃に制作された楽曲に、時代に合わせてタイトルが変更されたユニークな経緯を持っています。「Blue Sunshine」は、ハードなアレンジも存在したものの、アルバムの構成を考慮して現在の緩やかなアレンジが採用されました。また、「ultra soul (Alternative Guitar Solo ver.)」はシングルバージョンとは異なるギターソロが聴けるアルバムバージョンとして収録されています。

『GREEN』は、B'zの音楽性の幅広さと進化を象徴する作品と言えるでしょう。ポップでありながら、力強さと繊細さを兼ね備えた楽曲の数々は、聴く者の心を掴んで離しません。2018年には、B'z結成30周年記念として『DINOSAUR』までのオリジナルアルバムと共にアナログレコード化もされており、現在も多くのファンに愛され続けている名盤です。

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