GREX-PLUS

GREX-PLUS: 宇宙探査の新たな一歩

GREX-PLUS（Galaxy Reionization EXplorer and PLanetary Universe Spectrometer）は、2030年代の打ち上げを見据えた赤外線天文衛星で、特に銀河の進化と惑星系形成の解明を目的としています。日本の大学の研究者たちが中心となり、計画が策定されています。

概要

この衛星は、約1.2メートルの口径を持つ宇宙望遠鏡として設計されています。観測機器には、近中間赤外線広視野カメラと中間赤外線高分散分光器が含まれています。近中間赤外線広視野カメラは、サーベイ観測を通じて初代銀河の探査を行います。その一方で、中間赤外線高分散分光器は、2020年までに開発されたSPICAの技術を基にしており、対象天体に対して高い分解能で観測することが可能です。この分光器により、原始惑星系円盤内のスノーラインの位置や、惑星の大気に含まれる分子の化学成分についての理解が深まることが期待されています。

さらに、GREX-PLUSはSPICAで開発された冷凍機技術も搭載し、望遠鏡を-223℃（50K）という極低温に冷却します。この技術により、赤外線観測の精度が向上し、より詳細なデータが得られると考えられています。

宇宙航空研究開発機構（JAXA）宇宙科学研究所による中型ミッションとして、2025年頃に提案を行い、2030年代半ばには打ち上げを計画しています。打ち上げ後は5年間の科学運用が見込まれ、その後追加で5年以上の運用を行う予定です。また、国際的な協力も視野に入れ、研究者ネットワークの構築が検討されています。

ミッションの目的

GREX-PLUSの主な目的の一つは、最遠方の初代銀河の観測です。これにより、銀河の成長過程を明確にし、超巨大ブラックホールの形成や、初期宇宙における再電離過程の理解を進めることが期待されています。特に、2025年に打ち上げ予定のNASAのナンシー・グレース・ローマン[[宇宙望遠鏡]]では観測が難しい高赤方偏移の銀河を観測することが可能です。

また、惑星科学の分野においては、複数の原始惑星系円盤でスノーラインの特定を行い、水の移動や太陽系形成史の理解を深化させることが期待されています。過去の探査では小惑星探査機「はやぶさ2」がリュウグウから有機物を採取しましたが、それがどのように形成されたかは明らかではありません。GREX-PLUSの観測によって、原始惑星系円盤内での有機物の化学進化が追跡され、初期の太陽系の成り立ちについての新たな知見が得られることが期待されています。

この他にも、GREX-PLUSを使用した太陽系内の天体や太陽系外惑星の観測計画も検討されています。

まとめ

GREX-PLUSは、銀河形成と惑星系の進化に関する重要な情報を提供できる可能性を秘めたミッションです。これにより、宇宙の成り立ちや我々の惑星系についての理解が深まることが期待されます。科学界での注目を集めるこのプロジェクトは、次世代の天文学に新たな光をもたらすでしょう。

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