GSh-23 (機関砲)

GSh-23

GSh-23（ロシア語: ГШ-23）は、旧ソビエト連邦で開発された、航空機に固定装備する目的で作られた23mm口径の機関砲である。その名称は開発者であるヴァシーリー・グリャーゼフとアールカジー・シープノフの両名の頭文字と口径に由来する。

概要

本砲は1965年から部隊配備が開始され、それまでソ連軍機に搭載されていたNR-23機関砲の後継機種として位置づけられた。多岐にわたる機種への搭載が進み、東側陣営の標準的な航空機関砲の一つとなった。

特徴

GSh-23の最大の特徴は、作動方式に「ガスト式」を採用している点にある。これは1916年にドイツで発明されたメカニズムであり、GSh-23では二本の砲身が前後に並んで配置されている。射撃に際しては、二本の砲身が互いに連動し、一方の砲身が発射サイクルを終える間に他方の砲身が次弾の装填準備を完了させることで、単砲身の機関砲に比べて飛躍的に高い発射速度を実現している。また、砲身にかかる負担が分散されるため、砲身の寿命が延びるという利点も持つ。ガスト式は発祥国であるドイツや西側諸国ではあまり普及しなかったが、ソビエト連邦やその同盟国では広く採用される駆動方式となった。

GSh-23には原型モデルに加え、改良型のGSh-23L（ロシア語: ГШ-23Л）が存在する。この派生型はオリジナルよりも広く普及しており、両者の外見上の最も分かりやすい違いは、GSh-23Lが砲口部分にマズルブレーキを備えている点にある。

また、通常の機関砲弾だけでなく、航空機関砲としては比較的珍しい機能として、フレア弾やチャフ弾といった特殊な弾薬を発射する能力も有している。これらの弾薬は、敵から放たれた対空ミサイルを欺瞞・回避するための自己防御手段として利用される。

呼称に関する注意点

GSh-23は二本の砲身を持つ「複砲身」機関砲であるが、外見から「連装砲」や「2門」と誤解されることが少なくない。しかし、構造的には二本の砲身が一つの機構を構成しているため、ガトリング砲などと同様に、通常は「単装（1基）」として数えられるのが正式な扱いである。機体に1基搭載されている場合、「単装1門」と表現するのが適切である。

ただし、一部の大型機（例：Tu-95後期型、Il-76輸送機）では、GSh-23やGSh-23Lを文字通り二基並べて搭載する構成が見られる場合もある。この場合、合計で四本の砲身が露出することになるが、これは「単装砲を2基」搭載している状態であり、「連装砲」という種類の砲を搭載しているわけではない。搭載数を示す際は「単装砲2基搭載」といった表現を用いるのが正確である。

主な搭載機種

GSh-23およびGSh-23Lは、多種多様な航空機に搭載された。

固定翼機: MiG-21（後期型各タイプ）、MiG-23（全タイプ）、L-39アルバトロス（ZA型など）、L-59スーパーアルバトロス、J-22オラオ、G-4スーパーガレブ、IAR-93ヴルトゥール、J-10、JF-17、テジャスなど、ソ連/ロシア製以外の機体にも採用例は多い。
回転翼機: Mi-24VP、Mi-35M、W-3Wヘリコプターに固定武装として搭載された。
爆撃機/輸送機: Tu-22M爆撃機やTu-95後期型爆撃機、Il-76輸送機などでは、主に機体尾部の旋回砲塔（ターレット）に搭載される例が見られた。

ガンポッド

機体固定装備の他に、機外に搭載可能な「ガンポッド」としても広く使用された。代表的なものに以下の種類がある。

GP-9: MiG-21の胴体下面に半埋め込み式で搭載されたガンポッド。GSh-23L一門と200発の弾薬を収容した。
UPK-23: 空対空戦闘を主眼としたガンポッド。1門または2門のGSh-23を搭載し、200発から400発程度の弾薬を搭載可能だった。
SPPU-22: 地上目標への攻撃に特化したガンポッド。搭載されたGSh-23は、最大30度まで俯角をとることが可能で、地上掃射に適していた。Su-17系列の攻撃機などが頻繁に使用した。

このように、GSh-23系列機関砲は、その独創的な機構と高い信頼性、汎用性から、ソ連および東側諸国の航空戦力において長きにわたり重要な役割を果たしたのである。

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