GW170814

GW170814：連星ブラックホール合体による重力波の観測

GW170814は、2017年8月14日にLIGO（レーザー干渉計重力波天文台）とVirgo（ヴィルゴ干渉計）によって検出された重力波イベントです。この信号は、連星ブラックホールの合体によって生じたもので、重力波天文学における重要な観測の一つとして位置づけられています。

検出の経緯

この重力波は、10:30:43(UTC)に検出されました。最初にリビングストン検出器が信号を捉え、その約8ミリ秒後にハンフォード検出器が、さらに約14ミリ秒後にVirgo検出器が信号を受信しました。3つの検出器全てで信号が検出されたことにより、重力波の発生源を特定することが可能になりました。分析の結果、90％の信頼度で、約60平方度の領域に発生源があることが判明しました。

GW170814は、GW150914、GW151226、GW170104に続く4番目の重力波検出例であり、LIGOとVirgoの両方が連星ブラックホールの合体を検出したのは初めてのことでした。この共同観測は、重力波源の特定精度を高める上で非常に重要な役割を果たしました。

天体物理学的起源

詳細な分析の結果、GW170814の信号は、地球から約540メガパーセクの距離で、太陽質量の約30.5倍と約25.3倍の質量を持つ連星ブラックホールが合体した結果であることが明らかになりました。合体によって形成されたブラックホールの質量は約53.2太陽質量であり、合体の際に約2.7太陽質量が重力波のエネルギーとして放出されたと推定されています。この時のピーク光度は約3.7Wに達しました。

これらの観測結果は、ブラックホールの質量分布や連星ブラックホールの合体過程を理解する上で、重要なデータを提供しています。特に、連星ブラックホールの質量が不均等である点が注目され、このような連星系の形成過程に関する研究が進められています。

一般相対性理論との関係

一般相対性理論では、重力波はテンソル型の偏光を持つことが予言されています。GW170814の観測では、3つの検出器で同時に信号が捉えられたことにより、この偏光の性質を実験的に検証することが可能になりました。これは、一般相対性理論の予測を裏付ける重要な証拠となり、重力波天文学が理論物理学の検証に貢献する例として注目されています。

結論

GW170814の検出は、連星ブラックホールの合体現象を観測的に捉える上で、非常に重要な出来事でした。複数の検出器を用いることで、重力波源の位置を特定し、一般相対性理論の検証にも貢献するなど、重力波天文学の進展に大きく寄与しました。今後の重力波観測によって、宇宙における重力現象の理解がさらに深まることが期待されます。

関連項目

重力波天文学
観測された重力波の一覧

外部リンク

GW170814 - FactSheet - LIGO
GW170814 - Gravitational-waves observed by Virgo & LIGO - YouTube

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